Opening phase

     

【〜流浪の辺境伯〜】

酷寒の陶土の大地。人が住まうにはあまりにも厳しいその環境にも王国はあった。混沌の大地で、魔物を倒し、領土を切り開く人々。
彼らは生まれながらにして戦うことを義務付けられていた。


GM:その竜も所詮は毒を吐くトカゲであり、今は物言わぬ骸に過ぎなかった。



爆笑!

イヴァン:……え、オレ?オレ?オレじゃないだろ?ドラゴンとか、単独で倒せる魔物じゃない。

GM:じゃあそれなりに苦労したんだろ。周囲から歓声が上がる。

イヴァン:「てこずらせやがって」と槍を突きたてる、ってやんなきゃならんだろ。こいつ多分ドラゴンじゃねぇ。毒吐くトカゲだ。


かつて国王の片腕として幾多の戦に参戦していたイヴァンも、今ではこの辺鄙な土地で魔物を退治するという見に成り果てていた。今は辺境と呼ばれる領地を巡り、人の住めない領地・魔境を開拓している。

イヴァン:土地が切り開かれれば、領地も発展するだろう。

GM:周囲の人々は剣に覚えはあっても、部隊としても動きはまだまだの人々で、それを君は訓練によって『ものの役に立つ』部隊にまで訓練していた。「すげぇ本当に倒しやがった」

イヴァン:「倒せないと思ってやらせたのか?」

GM:「スンマセン!」

イヴァン:山本五十六の言葉を借りるなら、教えてみて手本を見せてから、やらせる。

GM:「無理っす」

イヴァン:「できる」「できる」


GM:さて、この領地銀嶺領の説明をしよう。

巨大な山脈が龍の背のように並び、深い渓谷とあいまって天然の要害となっている領土。
長く王国と国境際という立地条件により、数多くの戦いで要所として考えられていた土地。それは辺境異民族の襲来の歴史でもある。
近年開発によって食料自給率は上昇したが、いまだ十分とはいえない土地である。

GM:そして今回また一つの魔境を切り開いた。春にはここにも、人を食わない花が咲く。

イヴァン:人食う花ってなんだよ(笑)

爆笑!

イヴァン:ロシアの雷帝イヴァンが、確か初めて食用以外の植物の庭園を作ったんだよな。

GM:あ、そうだったね。

イヴァン:花を見て、愛でる心を育まねば、真の平和は訪れぬ。


GM:しかし、その平穏も長くは続かない。この辺境の土地に現れた都からの使者。都の使者は困ったように抗議の声にマユを潜める。「そんなの納得できません」

イヴァン:「一体…なんだってぇ言うんだ。」とオレは若者の合間に分け入ってはいって…

GM:その書面は、国替え、つまり領地替えについての命令が下されたことが記されている。

イヴァン:「ただでさえ魔物が出るのに、国替えっていうのは手間がかかるんだがな」とそれを確認して眉をしかめよう。

GM:口元を布で隠した法衣の使者は、困ったように返事を返す。「こちらも命令で来ているだけなので」そして目元の笑み「そう、ただでさえこの領地は所定の税を納められていないのですから」

イヴァン:領地治め、不行き届き、ってところか?

GM:「それは魔物のせいで……魔物を倒した、これから収めるって!」と若者がイヴァンの肩口から身を乗り出し抗議をする。「だいたい、あんた達は税を取るだけで何もしないじゃないか!」使者は「ほう」と眉を吊り上げて無礼な若者を見下ろす。

イヴァン:「……おい」と、肩口の若者を一瞥。

GM:「スンマセン。」そして使者。「あなたは、新たな領地に向かってください。あの領地を現在治めているゴロンゾは、辺境の族長を取り立てた者ですが、それがまったく機能していません。彼は、あなたの知り合いでしたな?」

イヴァン:「何を期待している?俺が行けば少しは状況がよくなるという期待か?辺鄙な場所に押し込めて安心できるという期待か?」
GM:「私には、そこまでは」そして一礼「確かに伝えました。」

イヴァン:「心配ない。この領地は返還する。領地の財産・目録は後ほど用意しておこう」


GM:使者が帰った後、若者は口惜しそうに声をかける。「行ってしまわれるんですか」

イヴァン:「ああ。」

GM:しかし、イヴァンの事情も知っている。将軍が辺境の領地に送られるなど、政争以外何物でもない。それ以上声はかけられない。

イヴァン:「別にお前が苦悩するような問題じゃない。ただの俺の都合だ。だがうさ晴らしするぞ。」

GM:「はい?」

イヴァン:「ここの財産は民衆に投げ打ってしまえ。」

爆笑!

イヴァン:ふふん。どうせ俺の財産は没収だ。新しい領主様が恨みを買わずに、それを巻き上げられるか試してやろう。ただのうさ晴らしだ。「理由は……そうだな。魔物を倒した人々に褒賞として振舞えばいいだろう。」

GM:「なるほど。やってしまいましょう!」世間一般からは凄く気前のいい領主に見えるね。

イヴァン:それは美徳だな。俺の財産が結局巻き上げられて、手元に残らないからやってるだけなんだがな。目録は後ほど報告すればいい。


GM:「必要なものは持っていってください」

イヴァン:「槍と盾。それで魔物は倒せる。いつも通りだ。いつもとかわらんさ。」

GM:「お元気で…」

イヴァン:「名前を聞いておこうか。」と若者に尋ねる。

GM:「オレグと言います。」と若者。

イヴァン:「じゃあな、オレグ。」


イヴァン:財産は無いといったな。あれは嘘だ。騎士団をもってる。俺は騎士団が財産だ。この300人がいればそれでいい。

GM:300のレオニダス王みたいだ。

イヴァン:これを奪われると羽根が奪われる。財産には興味は無い。だが俺の生え抜きの部隊だけは譲れない。

GM:本当はそれを奪いたかったんだろう。でもそれはできなかった。

イヴァン:仁義がある。何処に言っても必ず集まってくる戦士たちだ。


次へ

リプレイへ

トップページ

Copyright(C)ゴスペラードTRPG研究班 (c) 2017.