Middle phase
【辺境の国作り】
辺境の国づくりが始まった。
領土を巡察するイヴァン。その隣には追従するスターシャの姿があった。手に書記の道具を持ち、その言葉を書きとめようとしている。
イヴァン:「この領地は大部分が山岳と森。そして広大だ。」
GM:「はい。防衛に適した拠点もございません。」
イヴァン:「そこで騎馬兵力を重視して配置することにする。内線防御というヤツだ。広い国土を守るために部隊全体を機動力でカバーする。」
GM:「よき考えだと思います。」領地の中を駆け巡れるわけですね。「拒馬槍などを相手の方向に配置すればこちらがアドバンテージを取れますね。」
イヴァン:「残念だがそこまでの予算は無い」と肩をすくめよう。
GM:「ふーむ」と彼女も腕を組んで考え込む。「なるほど、食料の生産能力が低すぎるのが心配ですね。対策はどうしましょう。」
イヴァン:「領土を増やすさ。」
GM:ちなみにメイキングしたこの土地の特徴を聞いておきたいんだけど。
イヴァン:基本的には寒冷地。
GM:歓楽街とかあるとか?
イヴァン:ないんだな。というか、それに適した施設はどこにもない。砦も城もない。
GM:ほう。
イヴァン:そして食料が1しかない。
GM:それは厳しいね。人々の生活としては非常に困る。
イヴァン:馬が33.鉱物が20.
GM:これは馬と山と森の国だね。拠点というものがまるでない。
イヴァン:では隣接領土の話だ。「銀嶺領の部隊は歩兵が3部隊ほどしか配置できていない。」
GM:「はい。」銀嶺領。砦だね。
イヴァン:雪が降って、山脈の上に雪が積もる期間が長いから銀嶺領。
GM:なんか狼の口みたいなの想像しちゃうね。「ですが、あの砦であれば、あれでも防衛ができるかと存じます。」
イヴァン:「今までならばな……サラミスは確実に次は手を練ってくる。そこでこの領土からも2部隊を派遣しておこうと思う。」
GM:「防人ですね。いい考えかと。それが代わるがわる守れば、相手もやり難いでしょう。」
イヴァン:「兵力だけで足りるとは思えんが、それで多少の安全が買えるのならばよい。」そうだな、将を配置しておくか。「ゴロンゾ」
GM:「おう。」傍らで退屈そうにしていた巨漢が返事をする。
イヴァン:「ゴロンゾ。お前には砦の領地に行って貰う。」
GM:「まかせておけ。不満は無い。いつもの仕事さ……。」と黙り込むゴロンゾ。
イヴァン:「どうした。この国での贅沢に未練があるのか?」と荷物をほうって渡す。
GM:受け取るね。「いや。オモチャみたいな国で暮らしたときはそれなりに楽しかった。それだけだ。踏み潰しそうで怖かったけどな。」
イヴァン:「オレグもつれていけ。」
GM:「おお。あの若造も連れて行くのか。役に立つのか?」
イヴァン:「あそこはアイツの故郷だ。よく戦うだろう。士気も高い。兵法にもある。よく戦う者は、これを勢いに求めて、人にもとめず、というヤツだ。」
孫子の兵法の第五篇(かな…)。戦とは個人の力や能力に頼るのではなく、全体の流れや勢いをつけることを大切にしたほうがいい、というもの。
GM:スターシャも頷く。「確かに、領土解放を受けた民の士気は高く、建国までした今、彼らには勢いがあるでしょう。普段以上の活躍が期待できます。」
イヴァン:「自分の領地を守るほうが士気があがるものさ」
GM:「確かにそうだな。」
イヴァン:「鍛えてやれ。」
GM:「任せておけ。」ゴロンゾは勇名が諸国に轟いている戦士だ。今まで砦を守ってきた過去も伊達ではない。
イヴァン:ああ、心配していない。俺も一緒に戦ってきた。ゴロンゾは戦場に置けばやるべきことがわかる男だ。「オレグもしっかりな。」
GM:「はい」とオレグが勢いよく返事をする。
イヴァン:「何、難しく考えるな。俺はできることしか命令しない。俺が援軍に到着するまで粘っていればいい。」
GM:「はい」そして少し考え込む。相手の正規兵の強さを思い出したのだ。
イヴァン:「案ずるな。窮余に取り戻せるつもりならば、サラミスもあれほど果敢に攻め立てたりはしない。一度破った今、よっぽど状況が整わなくてはサラミスは兵を挙げたりしないだろう。」
GM:「勝ち目がある時にしか…動かない。ですか。」
イヴァン:「ああ」
GM:「それが厄介なところか。負けたらバルハラで会おう。」ゴロンゾが腕を組む。
イヴァン:「いつもどおりやれ。」
GM:「いつもどおりやる。どうせ、それしかできん。」そう言って笑って彼らは出立する。
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