Middle phase

           

【復讐劇の舞台から下ろされて…】


もう一人のメイジ。そして戦の引き金となった元凶たる魔女の来訪はいつものように唐突だった。そしてそれはいつもここにいるかのように傍若無人であり、我が物顔だった。


GM:イシュカはあれから領地に逗留している。勿論勝手に。

イヴァン:では部屋に入っていこう。俺の!部屋にな!「なんだ。元気にやっているようだな。少しは俺の言うことを聞くようになったかと期待していたんだがな。」

GM:椅子に腰掛け足を組んでいたイシュカ。「アイツと話をしたのか。」とバツの悪そうな顔をする。スターシャのことだ。

イヴァン:「話のわかるヤツだった。」

GM:「ウェエエー。」吐き気を催す仕草。

イヴァン:「不満でもあるのか?」

GM:「アイツ、何か私の話をしていなかったか?」と不快感露に問う。

イヴァン:「お前がどうしようもないヤツだと言っていた。だが同情の余地がある、と説明してもらった。」

GM:「ほー」

イヴァン:「不満か?」腕を組んで壁にもたれかかるが――。

GM:「同情?。アイツがそう思うのは勝手だ。」とふてくされた様にジョッキを煽る。「それより、これからどう動くのだ」と笑み。

イヴァン:「どうとは?」

GM:「私に出来ることは?」

イヴァン:「イシュカ」

GM:「確かに前回は失態だった。でもな――」

イヴァン:「お前は忍耐に欠ける。そこはわかっているか?」

GM:「次は上手くやる。」

イヴァン:「お前の失態は捕まったことではない。俺の意向を無視していたことだ。」

GM:「それは確かに焼きが回った。捕まらなければもっと大きな舞台で大火にできた。」

イヴァン:「そんな日は来ない。」


GM:「お前は悔しくは無いのか?!お前の話しは聞いた――」

イヴァン:「いいか。イシュカ。お前が分かっていないようだから話しておく。よく聞け。俺はサラミスの家臣を部下にする気は無い。お前の頭の中はサラミスのことで一杯だ。俺の顔を覚えていられるか?そんなヤツを部下にするとでも思うのか。」

GM:「それは……」

イヴァン:「お前の優先順位は今もサラミスが一番だ。違うか?」

GM:「お前も同じような憎しみを抱えているんじゃないのか!!?エルフィーナに対して愛情はないのか?忘れてしまったのか?」

イヴァン:「勿論ある。だが愛していても決別できる。俺はエルフィーナを今も愛しているが、俺たちの運命は交わらなかった。」

GM:イシュカは動揺している。

イヴァン:「エルフィーナは全てだった。それより大切なものもある。」

GM:「お前には燻っている火はないのか?!!」




イヴァン:「イシュカ。俺やお前の感情がどうあれ、これから起こる大戦争はより大きな問題だ。お前は王国に住まう人々の全ての未来を奪った。そしてお前がどう理由付けしようと、俺たちの気持ちはそこには関係ない。反映されない。」

GM:彼女は一切の表情がなくなる。「そうか。」




イヴァン:「ああ」

GM:「それは……すまなかったな」彼女は立ち上がるとフラフラと歩いていく。


GM:彼女はそれから領地の森の小さな庵に住んでいるという。

イヴァン:「これからのことは彼女が決める。」

GM:ポツリと呟いた先、窓の外では雪が降り続いている。

イヴァン:あいつは俺を冷たい人間に思えたのかもしれないな。女は自分を一番に考えてもらいたいものだろう。俺もそうありたいと…考えてはいたが……。


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