Ending phase 

          

【そして戦火の烽火は立ちのぼり……】

GM:人々は大歓声を上げて勝利を祝っている。今では虐げられた人々が鋤や鍬を掲げて、喜び、時の声を上げている。この領土の人々は隣接領地から訪れた救い主に喝采を送っているのだ。

イヴァン:「なんの騒ぎだ?」と周囲を見渡す。

GM:「あいつらを撃退したんですね。」と興奮気味のオレグが駆け寄る。「あなたは救い主です!」

イヴァン:それは誤解だ。原因は俺にあるし、俺も誰かを救いに来たわけじゃない……と口に出す必要も無いな。まぁいい。「オレグ。怪我人を収容し、手当てをしてやれ。」

GM:「はい!」と喜び勇み、指示をしていく。

イヴァン:さてと俺は…

GM:「どちらに?」

イヴァン:「イシュカが囚われているはずだ。解放してやらねばならん。」


拷問室、そこは過酷な取調べが行われた恐怖の場所。
むせ返るような血の匂いのする薄暗い部屋には、体のどことも知れぬ肉片が転がり、石畳を火が照らしていた。その中、フックで吊り下げられたイシュカの姿が発見される。



GM:「エヘヘ、しくじっちまったぁ……」

イヴァン:降ろすとしよう。

GM:「げぇええ」と床に投げ出されるイシュカ。

イヴァン:「酷い傷だな。しかし良かったな。その傷にかなう願いが叶ったぞイシュカ。」

GM:「うん?」

イヴァン:「大戦争だ。この王国を二分する戦いが始まるぞ。俺の愛した、お前の憎いエルフィーナも否応無しに巻き込まれるだろう。俺が先ほどやったことは、これで完全に無駄になったぞ。」

GM:「は?」

イヴァン:「お前が俺の部下なら、この場で殺してやるが――。」

GM:「力を貸す、出来る限り。」

イヴァン:「あいにくお前は俺の部下じゃない。」

GM:「……まいったな。」

イヴァン:「だいたい何に力を貸すって言うんだ!戦争にか!和平にか!」

GM:「大きな声を出すな。傷が痛むんだ。傷を手当てしてから……」

イヴァン:「ちっ」俺は背を向け、その場を後にする。


外で歓声が響く中、砦の回廊を歩くイヴァンの表情は重苦しかった。不意に拳が石壁に叩きつけられ、人知れぬ不満が露わになる。


どうなってしまうんだ。戦争か?
俺は先王と一緒に作ってきた自分の祖国を滅ぼし、愛した女を傷つけるのか。これは避けられないことなのか?


イヴァン:俺は手の中の指輪を見つめる。

イヴァンの反乱の報に幼き新王は顔色を曇らせた。政治経験の無い彼ばかりではない、多くの重臣が、好意的であった人々でさえ、その裏切りにも似た反乱は、その心を憤らせた。

「イヴァンからこのようなものが送られて参りました。」
宰相サラミスはそれを受け取り、包みを開封する。
(戦書か?)そういぶかしむ彼の表情が青ざめる。
そこには切断された指と、王の指輪が納められていた。
(イヴァンの……)

サラミスは、自分がイヴァンを討とうと考えていたことは間違いではないと今をもって信じている。
しかし、彼の忠誠心を疑ったことは無く、そして道は違っても大義をもつ男だと、誰よりも評価していたのはこのサラミスだった。
嫉妬心や、ライバル心、多くのものが彼を駆り立てた。

彼は今さらながらに悟った。
彼から国も誇りも奪い取ったのだと、
そして残されたのは『争いの運命』のみであることを……

一つの戦火が、辺境の端から立ち上ろうとしていた。



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