Opening phase
【サクノ〜悪の幹部会議〜】
GM: よし、じゃあ始めんぞ。オープニング。
士朗:うっしゅぅ〜!
GM: コレはPC2から開始になります。
士朗:あ〜そうだね。10年前でしょう?
GM: いや、実はそのう。現状の説明なんですね。
〜1カ月前〜
先日の大雨の影響で日本各地はダメージを受けたようで、都市内は多くの問題が起こっていた。今も排水作業でてんてこ舞いである。
そんな中ある事件が起こった。都市の地下下水の広さ深さを知っているだろうか。その巨大さはさながら地下を流れる河を思わせる。常時それは満水にならぬよう、各場所には予備の貯水スペースが用意されている。
しかしこの大雨では、その一つが機能しなかった。
その予備のスペースが既につまっていたからだ。
貯水槽にたまっていたのはおびただしい身元不明死体であり、その数は200〜300はゆうに超えていた。
(士朗:げぇ〜!)
(カナタ:おおう)
まるでゴミ捨て場ででもあるかのようなそれは、この大雨を持って発見される。
GM: これが多分、事件開始の半年ぐらい前の話です。というわけでUGN……。
カナタ:UGNの仕業だな。
GM: UGNがこれやったらもう!
士朗:「はっはっはっはっは……」(←高田所長)
GM: あ。ダイス振らなきゃいけない。第一回目の侵食率アップだね。
サクノ:うりゃ。(コロコロ)2。
士朗:幸先いいねぇ。
GM: ありがたい。これがダブルクロスの恐ろしいところだ。
士朗:沢山のEロイスを期待してますよ
GM: はい、サクノが務めているUGN。ここは企業の研究室。製薬会社の研究施設なんだね。
サクノ:ああ。
GM: 表向きは。
S市のUGN支部は一般製薬会社の研究施設を装った施設であり、大きな施設には多くの従業員が出入りしていた。
実際、ここは企業の研究施設であり、大部分の社員はこれがカモフラージュであることを知らない。
ただ企業への出資者や系列のトップにはUGNの影があった。
士朗:先生!(挙手)
GM: はい。
士朗:お話の途中すみません! ここ、場所どこですか?
GM: ん〜、一応ね。場所としては東京近辺の地方都市なんだろうね。どっちかというと海際の近くにあります。
士朗:はぁはぁ。
GM: というわけで、そんなに離れてもない土地に研究施設を入れてる、研究主体のUGNですね。
士朗:あ、それはいわゆる特別支部って奴じゃないですか? 特別支部って何かの研究のために……。
GM: そうですね。研究のために用意されてる場所。そこにサクノは呼び出されるんだね。
サクノ:はい。この私を呼びつけるとは……(ゴニョゴニョ)。
GM: 研究所長。高田重治(しげはる)。
士朗:キター!
研究所長高田重治(しげはる)≠ヘ、奇怪な人物だった。
坊主頭丸眼鏡に口髭という風貌で、ある事件で膝を壊して以来、車椅子の生活をしていた。
顔は常に笑顔で、物腰は穏やかだがその瞳からは意志疎通はできない。
一同:爆笑!
所長に呼ばれて、サクノが訪れる。
所長室は知らぬものが見れば簡素でこざっぱりとしたものだった。
唯一気になるのは、写真立てが部屋中にあること。所長と色々な誰かが笑顔で写っている。これは皆所長が治療と称した実験で、命を奪ってきた人々の写真なのである。
(士朗:う〜わ〜遺影じゃねぇかほとんど)
高田所長は背後の窓ガラスから景色を見ながら言った。
GM: 「来たね、サクノくん。あの男が帰ってきたらしい。」
サクノ:「あの男ですか?」
GM: 「大神帯刀君だ。友達だよ。僕と君のね」
一同:爆笑!
士朗:やっぱり悪い人だよ!
サクノ:帯刀は「恩人」だし、一時期組んだってことだからそんなに悪い感情は持っていない。「帯刀さんが……ですか?」
GM: 彼、満面の笑顔だった。それが果たして君と同意の笑顔かどうかはわからない。
士朗:(くすくすぷぷっ)
GM: 「やっぱり……僕たちを憎んでいるんだろうねぇ…でも、まだそれは研究の途中だからだよ。研究が成功すれば彼も笑顔になってくれる」
カナタ:こ……。
士朗:怖ぇ〜。
(写真立てを取り)
「井上君の脳髄液から薬が出来た。井上君ありがとう。」
「佐野さんの娘みどりちゃんからは拒絶反応の出ないクローン臓器が出来た。ありがとう、みどりちゃん。」
GM: 「サクノ君。何が言いたいかわかるかね?」
サクノ:「……はあ」
GM: 「僕はねぇ。帯刀君にありがとうが言いたいんだ」
一同:爆笑!
カナタ:怖ぇぇぇぇ〜!
士朗:ヤバイ! 超飛んでる! ありがとうって……想像以上だ!?
GM: 「さぁ研究の再開だ♪」
サクノ:「わかりました所長。それで、帯刀さんは今どこに?」
GM: 「それを見つけて確保する指示をすでにしている」
と話をした時、ドアが蹴り開けられ一人の少女が入ってくる。
小学生か中学生か、タンクトップにスパッツ、帽子を深々とかぶり、手にはポテチの袋を持っている。
(士朗:ポテチ……)
長い髪を適当に流している。
可愛らしい顔には似つかわしくない目付き。
バリバリとポテチを頬張りながらも、目付きは荒み果て、
この世の地獄を総舐めしたかのような冷ややかなものであり、地獄の鬼も裸足で逃げ出す酷薄なものであった。
GM: 彼女は言うんだね。「けっ、サイコ野郎が。ちんこ立たなくなって残酷さばっかりデカくなりやがった」
一同:爆笑!
士朗:やべぇぇぇ! マジやべぇぇぇ! ピーだよピーピー!
GM: 「インポ野郎はこれだから嫌だぜ」
カナタ:ピーが足りないよ!?
GM: 「カガリ君。その言葉遣いはどうにかならんかね?」
士朗:おまえの頭がどうにかならんのかね!?
GM: 少女は言うんだね。「お仕置きの電気ショックはケツの穴か、あそこにぶちこんでくれ。他は楽しみようがなくてな」
カナタ:ううわぁぁぁ〜!?
士朗:こ、このカガリちゃんのセリフは80%が伏字になるですよ。
GM: 所長は言うね。「君達が顔を合わせるのは初めてかもしれないな」
サクノ:「はあ」
GM: 「彼女は『バーサーク・リトルレディ』カガリ君だ」
サクノ:「はあ」
GM: 「我々のエースだよ。彼女が入れば他の戦闘員の出番は無いだろう。しかしトラブルメーカーだ。君は彼女のお目付け役だ。一緒に組んでくれ」
サクノ:「はあ……しかしそんなエースと組むなんて私に務まるかしら?」
GM: 「彼女が帯刀くんを壊してしまっては研究に差し障りがあるだろう?」
サクノ:「それは困りますね」
GM: 「やはりストッパーが必要だ」
サクノ:「ふむ」
GM: と話をするとさらに二人の男が入ってくるんだね。
二人の男が入ってくる。
一人の男は奇妙な男だった。丸刈りオレンジの髪の筋肉質な男で、左右の瞳の色が違うオッドアイという奴だ。
男は体を二分するかのように中央に縦のラインが入っている。
士朗:これあのぅ……(笑)
彼こそはダブルヘッド。
高田所長が研究の末に作り出した作品である。
あの時の高田の顔が思い浮かぶ。
笑顔の高田は嬉しそうに猫を撫でながら説明する。
「脳には未知の部分が多く、人間が解明している部分は半分にも満たない。凡人は未知の部分を調べようとするが、私は違う。不必要な部分を可能な限り切除し、半分の容量に抑える。それを二つ作り上げて、一人の人間に納める。ダブルヘッドの出来上がりだ」
一同:爆笑!
士朗:おまえ怖い!
GM: 「彼は一見一人だが、ピュアサラマンダー二人なのだ!」
士朗:やべぇ雑魚じゃねぇかも。
もう一人は知らない男だった。すすけた中年男性。ヨレヨレのスーツに緩んだネクタイ。無精髭に淀んだ瞳。いや、淀むなんてレベルじゃあない。瞳は完全に焦点を失い半開きの口からはヨダレが垂れている。
カナタ:大丈夫なのか!?
士朗:すいません。ここ、UGNですよね?
一同:笑!
士朗:FHじゃないっすよね?
カナタ:いや確かに彼からは「欲望」を感じない。
GM: そうそう。まったくなんの欲望も感じないね。所長は二人を紹介する。「今回の事件の増援だ。君達と言えど手を焼く相手だからね。紹介しようダブルヘッドは知っているね。もう一人はリモートコントロールダンディー」
カナタ:ウィ〜ン、ボ〜ンって感じですかぁ?
GM: 「カガリ君はよく仕事を一緒にするから紹介してやりなさい」と言い、カガリは「ふぁ〜い」と欠伸をする。
士朗:ふぅ〜ん。可愛い子だな。
サクノ:「しかし、所長。この二人は本当に役に立つんですか?」
GM: う〜んとね。二人とも意思疎通はできないね(笑)。
一同:(笑)
士朗:あの! 会話ができるの一人しかいないじゃないですか! しかも口が悪いのしか! おもしろぅい。
GM: なんていうのかなぁ。ダブルヘッドの方は左右の意見が違うのかなんか言おうとしてるんだけど……。それが混じって動けないみたい。
士朗:不良品じゃねぇか! 完全に壊れてるよ!
GM: まあ、そうだね。単純なミスがあったんだよね。
士朗:単純どころじゃないっす! 設計段階で気付かなかったのかよ!?
GM: いや、でもね。実際それは成功しているみたいで二つの脳がそれぞれちゃんとあの、シナリオで一回しかできない技を使ってくるので。一人で2発!
士朗:戦闘では特化してる! 会話はできない?
GM: 沢山の人を感染させたりいろんなことをやりながら研究しているんだね。治療の意味だったんだけどいろんなことをやってるんで……。
士朗:治療とかどうでもいいよね! 建前でしょ?
GM: 建前だね。でも、人類のためだと彼は信じてる。
サクノ:おお。
士朗:ああ〜。
GM: さっき囲さんが言ったとおりで、人類のためにやってる(笑)。
士朗:ああ〜「私は人類を愛しているんだよ」(←スイッチが入った)
GM: そうそう。彼は決して悪意でやってるわけではない。
カナタ:「オーヴァードは愛してないけどね」
一同:(笑)
士朗:たまんないねぇそいつ。ちょっとたまんないっすよ。
GM: はい、というわけで。
サクノ:じゃあ、とりあえずその所長と二人はほっとこう。
GM: 「よろしくやろうぜ」とカガリは後ろでうずくまってるね。
サクノ:カガリには頭に手をポンと乗せて「よろしくねお嬢ちゃん」撫でくり撫でくり。
士朗:「気軽にアタシの頭に手を置くなよな。手首から先が無くなるぜ?」
GM: いや、嬉しそうにポテチを渡すよ。「おら。ポテチだ。喰えよ」
サクノ:「ありがと」そのまま口でパクッ。
GM: ポテチをかじりながら表に出ると、カガリ、すげぇ嬉しそうにニヤニヤ笑って所長の後姿を見てるんだね。
サクノ:ほう。
GM: 「笑えるねぇ。アイツはクレイジーだ。今までの殺した被験者は千を越えるのに名前も顔も覚えてる、と――しかもアイツはジャームじゃなくてれっきとした普通の親父と来たもんだ」
カナタ:UGNにジャームがいてどうする!?
士朗:いたら処分されちゃう!? いたら処分……!
GM: 「あの殺人鬼が普通としたら、この世と地獄の境界線が見つからないわな?」
サクノ:「この世と地獄の境界線なんて、なかなかロマンチックなこと言うのね? そんなことを考えてちゃ、研究はできないわ」
GM: 「え〜」向こうの方はそれを聞くと「同意見なら話は早いさ」と言ってそのまま手をこう……伸ばして。
サクノ:そしたら、それをぺチッと。
GM: 「楽しくやろうや相棒! 町中に火つけまくって境界線を消してやろうぜ」
サクノ:「まあ、よろしくね」(……あの後ろの二体はせいぜい捨石に使えるかどうかってとこかしら。こっちの子はまあ、使えそうね)
GM: 「これ。これが便利なの」って言って、コントローラーを出すね。
カナタ:ほぉう。コントローラー。
士朗:それで『リモートコントロールダンディ』
GM: あいつは何も見えてないけど、画面が付いてて、ダンディの頭によぉく見るとカメラが乗ってるのね。
一同:(笑)
カナタ:うぉぉぉい!?
士朗:どんだけ不便なんだよ! これロボットだよ!
サクノ:これメジャーアクションを消費するとか……。
士朗:やってらんないよそれは! 攻撃したほうが早いよ! (全力突っ込み中)
カナタ:どれぐらい遠隔操作ができるんだろう?
GM: さて、サクノさんは一つの分野の主任研究員みたいなモンなんだね。
サクノ:はぁ……。
GM: 一番はやっぱ所長なんだよ。自分達も所長の研究分野の一個を受け持ってる。で、所長の研究はかなり成果を上げている。ただ、思い通りではなくて、ケアレスミスに近い失敗作が多い。
士朗:さっきのダブルサラマンダーはケアレスとかいうレベルじゃない超ミスだったと思うんですけど。
GM: でね、この所長はかなり問題ある人格ではあるけれど、君たちが生存しているのは全て所長のおかげだと言ってもいい。ジャームとして認定された人を保護してるんだね。
士朗:あ〜。
GM: サクノさんとの出会いもそういう関係があったでしょうし、今の研究もそういう意味でシンパシーを感じないわけにもいかない。
サクノ:なるほど。
GM: もっとも、人間性についてはあんまり信頼の置ける人ではない。
サクノ:まあね。意思疎通できないからね。
GM: 元々この組織というのはここまで強力で巨大な組織じゃなかったんだけど、やっぱり彼は色んな作品を作るんで、オーヴァードがドンドン増えてます。
サクノ:……作品。
GM: で、そいつらが戦闘員のように活動してるし。だから、この組織が保有してる戦闘員って結構な数がいる。
士朗:UGN内でもそろそろ歯止めが利かなくなってるのかもしれないね。
GM: UGNもすごいパッシングをしてる。やっぱりまともな人たちは「この研究はおかしい」って言ってるんだけど、博士自体がある程度成果を上げている事と、結構子飼いが多いのね。
士朗:ああ。霧谷のような非現実的なキャラよりもこういうキャラの方が影響力がありますね。
GM: 彼はちゃんと真面目だからね。
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