幻想戦記リプレイ シーザーVSレオン

クライマックスフェイズ@ パリの戦い/終局

フランス・レオン軍はいよいよ追い詰められた。シーザーが解放した捕虜によりマッタンホルン要塞からの援軍30部隊が捕まったことがわかる。帰ってきた捕虜の言葉にレオンの配下の将軍達も動揺を隠せない。
しかし、この中で一番レオンが動揺していた。
このことが意味することを知っていたから。


レオン 「マズイ!マズスギマス!
国境沿いの兵士を帰還させてしまった上に、隣国は長年戦っていた敵国アレキサンドリア。気がつかれたら兵を動かしますよ。この情況のまま推移すれば、フランスは・・・落ちる!?」


シーザー「もう、作戦メモもいらないよな。じゃ、レオンの領地の確保に将軍達を送るか。
この最前線は私一人でいいと指示を出す。」

GM  「え!それはあまりにも危険すぎます。部下達も心配げに身を乗り出し反対するね。さすがのコンスタンスも心配そうな顔を見せる。」

シーザー「シフォンもいる。帽子から妖精シフォンを取り出す。」

GM  「帽子から飛び出した妖精は、地面に転がり、牙を剥いてはシャーと声を立てる。しかし、周りの皆は「ですが」と静止の言葉を選んでしまう。」

シーザー「すぐに行動を起こさなくていい。」


GM  「シーザーの軍勢は周囲の都市の占拠に乗り出すようだ。たぶんマッタンホルンの伏兵部隊とも合流している。
ドーベントを始め、ほとんどの将軍が、決戦を呼びかける!『やりましょう!レオン様』」

レオン 「計られたのだ・・・。我々は。
ここでシーザーの軍勢を全力で叩けば、我々ならば勝てるかもしれん。
しかし、あの軍勢。負けるとまでいわぬでも、被害は甚大だ。おそらく戦力は良くて半減。
しかも国境はやぶられ、アレキサンドリア軍が入ってくるだろう。
それには勝てない。フランス全土を失うだろう。」

GM  「『では周囲の都市をやつらに奪われてもいいのですか!』と将軍達はすごむ。」

レオン 「・・・。お前達は救援にいくのだ。」

GM  「・・・と、いいますと?」

レオン 「この戦いは敗北したのだ。このままではフランス全土が戦火に焼かれる。それは阻止せねばならん。
おそらくシーザーの軍勢が都市攻略にかかる前におまえ達が都市に到着していれば、シーザーもここで無理強いはすまい。
おそらく戦線は硬直する。
だから、他の都市はおまえ達が守ってくれ。」

GM  「シーザーが戦場に残るならば、そこを叩けば?」

レオン 「シーザーが出方をまっているのは、こちらの判断に委ねるためだ。彼は後から動きを決めても構わない。だから自分の行動をGMにアピールしたのだよ。」

シーザー「ウィ」

レオン 「私は王としてこのフランスを守らなくてはならない。だから、この都は私が死守する!」

GM  「国はどうなさりますか!」

レオン 「私には息子がいる。もしもの時は息子にまかせよう。」


というわけで、最後には首都防衛にレオンが残り、シーザーの軍がそれに対して向かうという構図になります。

シーザー「じゃあ、門前まで着いたら『開門!』と呼びかける。」

レオン 「く、開けますよ」

GM  「開けちゃうの?」

レオン 「ええ、シーザーのことですから、内部に工作部隊をいれたはずです。さっき捕虜を解放したでしょ。その時に工作兵が入ったはずです。」


★ ご名答!
シーザーの4通目の最終指示です。
レオン 「私でもそうしますよ」


この都市を守る最後の扉・厚く閉ざされた城門が開く。
そこに姿を現す馬上の騎士である。レオン・ガートランドである。
黒い鎧に身を纏った彼は、幾多の戦場を駆けた暗黒騎士でもある。そしが再び剣を手にここに訪れたのだ。
そして、再び対峙する両雄。


シーザー「やはりあなたでしたか。」

レオン 「左様。国を守るものは王であるべきだ。このパリを守る最後の剣と思われよ!」

シーザー「私はあなたならば、必ずそのように答えてくれるものであると信じていました。

そこで提案があります。この度の戦争。最後に武力を用いて民草の血を流すのは、双方後味の悪いものを残す。
この最後の戦いは一騎打ちにて決着をつけたいと思います。」

レオン 「何!?」

シーザー「もしこの戦いで貴方が勝たれたならば、我々の敗北。この戦退きましょう。しかし、私が勝ったのならば国を 頂きたい。」

レオン 「(しばし沈黙)・・・わかった。では我等のこの戦いに終止符を打とう。」


レオンとすれば、もはや勝敗の決した戦い、ここで一騎打ちをすることしか民草を守る手はありません。
対するシーザーは首都を民の血で陥落させては、以後の従属は望めないという考えなのでしょう。
しかし、最後の花道をレオンに作ってあげていいのシーザー?
国民はレオンに信服するよ?


シーザー「待て。私はいまだ若輩の身。剣を手にとって戦うことは叶わぬ。代理を立てたい。」

レオン 「まぁ13歳の子供と一騎打ちというのも、変な構図ですが(苦笑)。」

シーザー「シフォン!」

GM  「呼ばれて現れるのは、いでたち煌びやかな褐色の肌に金髪の娘。しなやかな体に、舞いでも舞うような服装を纏っている。容姿は人間のそれではあるが、鋭い瞳と闘争心は人のそれではない。怪力と爪と牙を武器に現れた北欧の邪妖精「フィモール」だ。」

シーザー「シフォンにカタナを放ろう。任せたぞ。わかっているな。」

GM  「シフォンは頷き、カタナを手にレオンの前へと歩み出る。」


シフォンに勝る腕は北欧には他にもまだまだいます。ですが、シフォンの捕縛術はこの国では随一。
シーザーはレオンの命を奪わぬ方法で捕えるつもりなのです。


この戦いは王城の中庭にて行われる。解放された中庭を囲むのはフランスの騎士達と民草。
その戦いを見守るレオンの手勢の騎士達。そして国内の人々である。
その中にあって戦いを見届けるシーザー。そしてそれを守る警護の人々。
口で言うほどシーザーの状態は良くは無い。レオンに勝っても無事に出られるのか?というほど緊迫した情況である。


キャラクター

さて、遅ればせながらであるものの、このコマンダールールのキャラクターについての説明をしておきましょう。
キャラクターは―
能力値(敏捷・知力・生命)と補正値(命中・回避・ダメージ)、それにHP、キャパシティがあります。
これに現在のジョブ(職業)とそれからくる特殊能力ABTを獲得して作られます。

能力値は能力値を使用した判定を行う場合必要となるもので、知力で作戦の成功度を決めたり、生命で気絶してもいい回数が決まったりします。これは戦闘ではあまり使用されないのが一般的です。

一方、補正値は命中・回避など実際の戦闘に関わる分野です。
この補正値は膨大な経験点を支払うことでも成長することができますが、ジョブについていた場合はその補正値のボーナスがもらえます。そのボーナスは戦闘的な職業であるほど大きく、魔法使いなど、そうでない場合はあまり得られないので、戦闘したいキャラクターはより戦闘的なジョブにつくのがお得です。

HPは装備で増減するもので耐久力を意味します。
これが0で戦闘不能となり、これに止めを刺された場合、死亡します。
一般的にセッション中は気絶回数は回復しないものなので、何度も気絶するほど死に近づきます。

最後にキャパシティは指揮官の許容量になります。
全てのキャラクターにはコストが設定され、部隊を編成する場合、コストの合計が指揮官のキャパシティ以内でなくてはなりません。
これは所有できる将軍総数に影響しますので、レオンのような国王はこのキャパシティの量が問われます。

<ジョブについて>
レオンのジョブは『ロード』なのですが、このロードという職業、今までの職業の強化版の職業なのです。
その前のジョブの影響を強く受けます。
レオンの元々のジョブは「暗黒騎士」です。暗黒騎士のABT「暗黒剣」はダメージを与えるとダメージ分HPを吸収し、しかもその分のダメージは回復しないというかなり強力なものです。

また、このジョブのシステムは今まで自分がどのような経緯で成長してきたかという点も影響します。
レオンはバーサーカー→暗黒騎士の経緯なので、バーサーカーのABTも使用しますが、そのABTは「気絶しない」。
レオンはHPが0になった場合でも戦いつづけ、以後のダメージは気絶回数の減少のみとなります。
気絶回数が尽きたら死亡です。
レオンは死ぬまで戦うユニットなのです。

一方シフォンのジョブは『スカウト』です。
スカウトは罠や捕縛術が得意なジョブで罠など多種多様な活躍ができジョブなのですが、暗黒騎士と戦えるほど強力なジョブというわけではありません。
ただ、シフォンは邪妖精という「魔物」です。魔物は明らかに人間よりも強力なモンスターで、これは普通人間一人が太刀打ちできるようなレベルではありません。
加えてレオンは仕官機なので、成長させるべきはキャパシティですが、シフォンはキャパシティを持ちません。
成長は全て補正という具合です。戦闘特化であるシフォンは十二分の勝算を持って挑めます。


一騎打ち

レオン 「フランス王・レオン=ガートランド参る!」

GM  「シフォン鞘と柄を握り飛び掛る!」


先手は挑む北欧のシフォン。彼女は鉤縄を取り出し、ターン終了。
対するレオンは「暗黒剣」を宣言し斬りつける。しかし、この攻撃はハズレ。命中回避の判定が1d20という触れ幅の大きい戦闘では、ダイス目によっては必ずしも格上が勝つとは定まりません。

シフォンの攻撃は鉤爪です。これがレオンには命中。攻撃が命中するともう一度攻撃が命中するダブルヒットが発動します。これは魔物の技です。
レオン 「剣はどうした(苦笑)」

シーザー「あれ、いわば飾りですから。本人使う気はないですから。」


レオンは次の攻撃を再び決めに入りますが、シフォンは罠を発動して身を翻します。

GM  「鉤縄を使って、舞い上がり、このターンは離脱。次のターン帰還します。」

レオン 「下りて来い!」

罠の中には離脱したり相手を除外する技があります。これがその技です。


次のターン帰ってきたシフォンは再び、罠を設置。
レオンはその後もシフォンにジリジリ追い詰められ、ついには生命点0まで追い込まれます。
GM  「・・・そしてそのレオンの攻撃にシフォンが罠「バインディング」を発動。レオンを捕縛します。」

レオン 「(捕縛の抵抗判定)コロコロ・・・ダメっすよ!相手人間じゃないもの。判定で勝てませんよ。」

シーザー「勝負ありだ、と声をかけて場を制しよう。」


レオン 「うーん。レオンは戦闘系ではないからなぁ。強い士官なんですよ〜」

シーザー「こちらは武官磐石で挑ませてもらったからね」

レオン 「く、貴殿の勝ちだ。しかし、成人したお前と戦いたかったぞ〜(笑)」


エンディングフェイズ 〜二人の国王〜

かくしてついにこの首都がシーザーの手におちようとしていた、が。
シーザー「(口早に)レオン王の縄を解く。」

GM  「??」

シーザー「レオン王。私は敗軍の将を辱めるつもりも、この国で略奪を行うつもりもない。
降伏することとあいなったのならば、準備もあろう。我々はこのまま引き上げる。
後ほど正式な手続きをとりたいがいかがかな?」

レオン 「む・・・結構だ。」


勝敗が決したことが報告されると、各地を防衛に渡っていた騎士団が再びレオン王のもとに結集する。
その騎士団はレオンにつめより、真偽を疑う報せを確認しに言葉を求める。

GM  「『レオン王。まさか本当に降伏なさるのですか?!』と騎士達がレオンの周囲に集り怒気を荒げる。」

レオン 「皆、そのようにするのだ。・・・私に恥をかかせんで貰いたい。」


GM  「当然シーザー側の将軍達は、『それで宜しいのですか?』と問う。」

シーザー「フランス国民にリンチにされたくなければ、こうするしかなかろう?(爽やか)」


シーザー「ロベルト!と一声。」

GM  「そばのロベルトは思わず平伏するね。」

シーザー「安心しろ。お前が案ずるようなことはせぬ。」

GM  「ロベルトはまた驚いて、下げた頭を上げられない。」

シーザー「すでにフランスの民が誰も出費・疲弊もせずに我々が財を手にする方法を考えてある。」

GM  「んじゃシーザーが出て行った後に、『一体どういう人なんだ・・・』と呟く。」


シーザー「城外に出たら、自分の手を揉み解して息を吐きかけていよう。」

GM  「コンスタンスが傍らによると、声をかけてくる。『陛下。お寒うございますか?』」

シーザー「・・・(答えるべきか逡巡。)戦の間。緊張してユビを握りっぱなしでしびれたのだ。」

GM  「ははぁ。するとコンスタンスの表情が尊敬の眼差しから、何か驚きとそして優しげな眼差しになる。」

シーザー「戦は・・・恐ろしい。
戦を決めたときから、我が友であり仲間を失うことを思うと、奮えて眠れない日を過ごしてきた。
そして、それは相手もまた同じであることもわかっていた。
余は王だ。この道は戦を避けて通れるものではない。
『命を奪い合うことが過ちである』などと偽善は振りかざさぬ。
ただ、その流れる血を減らすことに砕身するのも王の使命だと思う。
皆、には内緒だぞ。子供に見られるからな・・・」

GM  「コンスタンスは小さくうなづく『そのお言葉を望むものもおりましょうに』」


戦が終わってみれば、両軍の被害は最たるものではなく、投入された部隊の数に対して異例ともいえる死者の少ない戦であった。この戦は後に『無血の戦』として語り継がれるものとなる。
そしてこの戦後処理も異例なものであった。

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