◆◆◆ ミドルフェイズ 26  ◆◆◆ UGNSランクスイーパー

(殺陣・・・・・・切られた死体が降り積もる。ひぃ ふぅ みぃ の・・・・・・ここのつ とう)


GM:というわけでその日の夜の事だね。さっきの続きで。

コギト:なるほど。

GM:この時北斗は食べ物を持って、相川家に向かったんだね。弘。いつまで経っても夜来ない……。

弘:ああ〜!!

コギト:「危ないぞ〜」

GM:「来ないんだもん。危ないもん」

コギト:「う〜ん。確かに」

GM:一応手にはタッパーとか持ってるけれど、何かあったら仕方がないという感じでドキドキしながら歩いてる。

コギト:「……」

GM:やっぱり北斗も言うね。「UGNにさらわれたかも知れないから」

コギト:「金沢のところに行くと言っていたぞ?」

GM:「なら、大丈夫なのかなぁ?」

コギト:「……それは、わからないが」わからないことだらけだ。



GM:振ってみるといいな。いや、振ったほうが得なんだこのゲーム。

コギト:(コロコロ)9が最高か。13。

GM:すでに、レベル3まで到達してる君には、ここでなにがあったか調べられる。戦闘はなかったとハッキリわかる。

コギト:「ふむ!なにもなかったようだ」

GM:金沢教授のところに行こうと思ってたのがわかった。そんなところだね。

コギト:ふむ。伝えておこう。



GM:もうすでに自分はここまで習得してるからね。完璧だね。ただ、その時、気配を感じだ。

コギト:「ぬう?」

GM:気配を隠す様子がなかったからだ。黒服の男が立っていた。

コギト:は〜!



気配がした。
気配を隠す様子もなかった。黒服の男がたっていた。ポケットに手を入れて荷物らしい荷物は持っていなかった。
表情は穏やかで、にこやかだった。


GM:なにか物質を周りに弾いてる。

コギト:てってってって。

GM:取ってみる?

コギト:ヒュッ。(←拾った)怖ェっ!なんか罠的なことに使う奴がいるんだよなぁ。
でもまあ、敵だろう。黒服というだけで敵だと思っていいような気がしてきた。

GM:エージェントだよ。



コギト:(コロコロ)34!!

GM:この男の事が全てわかる。

一同:(笑)

GM:いよいよ自分は到達した。おそらく、銀次さんがやってたのはこれだろう。

コギト:お〜。

GM:北斗の人生を知ったように、ここまで至れば、すれ違いざまでも相手の人生が大体わかる。



その気配は人間の気配とはおよそ縁遠かった。
鞘に納められた刃物のようでもあったし、欠伸をする猛獣のようでもあった。
彼はUGNのハンターだった。
幾多のジャームを倒してきた技術を殺人芸術として崇拝していた。
しかし人殺しではない。
研鑽と修練の結果磨き抜いた技術は彼を研ぎ澄まし、研ぎ澄まされた彼は過程で人間らしさを削ぎ落としていった。
彼が人間であるかは、わからなかった。
もしかしたらジャームなのかもしれない。ただ自分達より感覚の劣る人間にはその区別はつかない。

彼は少なくとも3人の敵を駆除するために来ていた。一人は弘、一人はコギト。
残る一人は銀次である。
しかし彼は感づいていた。北斗が人間ではないことを。

これは情報物質を読む以外の何かの感覚といってもよかった。
人間はこれを直感という。



コギト:とりあえず、斬っとこうみたいな感じか。

GM:うん、そう。弘の家の方にもう一度目を向けて「どうしたんかい?留守かいな?」と声をかける。
「しゃあないなぁ、手間ぁ省こう思うとったが、上手いこと行かんなぁ?
……学生の夜遊びなんぞ、なんぼ世が世いうたかて感心せんぞ」と言いながら笑顔を向ける。

コギト:「フゥーーッ!!」と言いながら2倍ぐらいに膨れ上がろう。(←威嚇)



GM:「あ〜あぁ。可愛い生き物や。せやけどワイ、そういうのおもちゃ扱いせえへんけどな」



突然彼の周囲に冷気が吹き抜ける。まるで世界が入れ替わったかのような違和感。


コギト:「ぎょっ?」

GM:「なんや知らんのか?ホンマに楽しめるんかいな。ワーディング言うて、ご近所の皆さんには寝てもらいましたわ」

コギト:「な……」

GM:周りの人間の一般人は全て無力化できるというエフェクトだ。

コギト:そういえば一回も使ったことがなかった。



GM:そう。君たちはまだ、そういう技術をまったく知らない。
これは誰でも使えるんだ。一般人を意味もなく殺害する時にも使えるし。……ボスだね。

コギト:ボスだね……って、どういうボスなんだよ?絶対、中ボスって感じがするんだけどぉ!?



男の上着が裂ける、中から飛び出したのは6本の鞭、否や!
蛇腹の刃である。
男は長剣からウルミンに至るまでしなる刃を扱う技術に長けていた。


コギト:「気を付けろ!北斗!」



男の力
それは単純な修練の力であった。技術と技法と研鑽の結果、男はこの技術だけで、幾多の化け物を始末してきた。
その刃が振るわれんとした時、男が振り返る。

そこに強い殺気を感じたからである。
「なんや!真打ち登場かいな!」
銀次がいた。


コギト:うわぉう。

GM:というわけで戦闘だね。

【1ラウンド目】

コギト:はぁー!……遅いんです。マジ遅いんです。(←行動値4)

GM:「『六つ刀飾り剣(むつがたなかざりつるぎ)』と申します」

コギト:「なに……か……。表情と全然違う情報物質出してるぞこいつ」

GM:銀次さんは気付いたんだろうね。奴の行動力は26。

コギト:なんだこれはぁ!?なにをどうやったらこうなっちゃうの?



GM:まずはセットアップだ。いきなり間合いを20m取った。

コギト:あ?

GM:そして。イニシアチブ《加速する時》。相手のターンの前に1回行動するという奴だね。

コギト:完全にボスじゃないすか!?



GM:そして、刃が振るわれるんだね。2本に別れた刃。それが、6本の刃を3本、3本撃ってくる。
「これは自在に数を分割できるっちゅう武器や」

コギト:なんじゃあ?

GM:というわけで、そこのコギトちゃんに24と言って3回攻撃。

コギト:3回!?3回とかふざけんなぁ!ダブルクロスじゃない!?

GM:さらに、24と言って銀次さんに3回攻撃だね。

コギト:攻撃力どれくらいなんだろう?

GM:ちなみに1ターンに3回行動できるので、これが3倍来るんだね。

コギト:こんなの全部避けたら侵食率爆発しちゃうよ?3発で21だよ?

弘:なんだこりゃ。



コギト:ちと待って?こりゃまずいね。なんとかして減らさなきゃいけないのよ。

弘:ドンマイ!

コギト:なんかホント、ドンマイなんだけどすでに。やべ。
3Dでしょ?3D+で……とりあえず9でいけるね。《命の盾》《コンセントレイト/ソラリス》
……ドッジしてみますか。得なのかこれ?(コロコロ)無駄に48とか避けちゃったよ?

GM:後2回。

コギト:……結構マズイんじゃね?(コロコロ)1発喰らった。

GM:分割してると威力落ちるんだよ。ダメージは18点。

コギト:マイナス6点。次はガード。

GM:次も18点だ。

コギト:チン!チ!損したぜ。



GM:「おおっと!3本分割じゃダメか。次はもうちょっと太いのでいくかいな」

コギト:助けて〜!?

GM:ところが銀次さん、結構苦戦してるんだね。まるで相手の動きが読めてないみたい。



相手の動きを全て読み取る銀次であったが
超反射神経を持つ、その男の物質・反応速度はすさまじく速い。
まさしく稲妻!
銀次が受け取りそれを意に介するよりも早い、稲妻のような反射神経は、もはや人間の領域を超えていた!


コギト:なにっ?そうか!

GM:「なんやぁ!噂ほどでもないなぁ」と言うけどね。銀次さんの様子の悪さはそれだけではない。まるでおかしい。

コギト:なにか……?

GM:体中から情報物質が溢れてるんだね。

コギト:うわ!



GM:北斗の方に視線を送り、思わず彼女が心配だという情報物質が大量に流れてしまう。

コギト:そうか、もう、気にしてしまってるから……。

GM:「なんてこった。今まで戦う時にはなんにも考えなかったからな」
銀次さんの情報物質を掻き出してやる事ができるかも。



コギト:よしっ!あれだな!大地のときみたいに!

弘:コギトは吸引力の落ちない唯一の……。



コギト:コギト〜!!(コロコロ)どれくらい?

GM:目標値は10。

コギト:11!

GM:なら、成功してる。でも、なんかねぇ、わかる情報がねぇ……。



なんてこった……。
今までは戦う時にはなんも考えなかったからな。
今は北斗がちらついて離れねぇ。
コイツの一家のことが頭から離れねぇ……
銀次はさとった。
人の心を読むことで最強の剣を得たと思っていたが……間違っていた。
己の心を殺さなくてはならなかったのだ。



GM:ところが、銀次の方。吸引しても全く物質が減らないのね。大地とテレビを見たとか、ザァーッと全部流れていく。

コギト:ああ、マズイ!これは、マズイ!

なんかもう!プルートのブランド状態だ!



GM:というわけで、向こうだね。すぐさま《加速する時》で2回目の攻撃に入っていくんだね。
まあ、心を読もうと思っている銀次さんは、とてもその自分のターンを使って読むこともできず、すぐに男は斬りかかって来るんだね。
32ぐらいで攻撃してきて、銀次さんに当たるんだね。



コギト:仕方がない。カバーリングやってみよう。

GM:3本来る。

コギト:3本か!

GM:ダメージが110点、110点、110点だ。

コギト:え?全部110点なの?それはちょっと計算外過ぎるな。1発だけか。1発減ったら耐えられそうか?

GM:あいつの攻撃はあと3回残ってるけどな。

コギト:な……なにもできない。

GM:二人は交差。そして銀次さんは斬り裂かれて倒れるんだね。



銀次は大量の情報で射撃、男は敏感にそれを感じ取る。
陽動は成功と思われた・・・・・・
しかし、男の処理速度は速い。
その情報を一瞬のうちに処理、偽装情報を見分けると、態勢を立て直す。
それが瞬きほどの時間である。

視界に赤が走る。
銀次は顔を割られ血飛沫が上がり崩れ落ちる。
意識はまだある。
身を起こそうとする銀次は腹が裂かれていることを気が付く。
負けたのだ。

男は止めは刺さない。
既に致命傷なのだ。走りよる北斗の姿を見て、別れの時間を与える。


GM:決して人情味があっておいたわけじゃなくて、
まあ……ここでトドメをさすのはちょっと無粋だろうな、と思ったんだろう。
次倒すのはそっちだけどな、とコギトと北斗に目線を送る。



コギト:…………1発減ったら助かったか?

GM:助からなかっただろうね。しかも相手はまだ3回攻撃を残してる。遊びの一撃。それで銀次は切り裂かれた。

コギト:……信じらんねぇ。

GM:「言わんこっちゃねぇ……てめぇの……せいでしくじっちまったじゃねぇか……」
と北斗たちのほうを睨むわけだ。
北斗は泣きながら「銀次さぁん……」と。
あれだな。〈調達〉判定が振れるね。
コギト:(コロコロ)23!


GM:銀次の最後の情報だね。銀次、驚いてるんだね。





銀次は驚いていた。
自分が何故、人の心が読めるのか、何の意味があったか、わかったのだ。

北斗は銀次のために涙を流している。言葉では言い表せない感情がはっきりわかる。
後悔と感謝と尊敬と慕情と――

人の心が読めなければ、はたして、人の心をここまで信じられただろうか
こうやって死んでいけただろうか
銀次は、はじめてこの奇跡に感謝した。



GM:おそらく、言葉では伝えられない感情も全部わかってるんだろう。

コギト:「……師匠」



銀次は大量の情報物質を溢していった。
それは自分の経験と、闘志であり勇気だった。


GM:自分達の心を殺さなければならない。
おそらく北斗と君からは大量の物質が流れ出すだろう。それを〈意志〉で止めて。

コギト:〈意志〉か!

GM:または吸引で止めて。それを一切伝えなければ……向こうは心を読む敵なんだね。

コギト:なるほど……。

GM:勝機はある。



北斗は銀次の刀を手にとっていた。


GM:この時、始めて北斗は刀を抜けるデータに変更されるんだ。

コギト:うわぁ〜ぉ。(吐息)

GM:劣化銀次みたいのね。

かくして北斗も刀を手に取り、向こうも「え、なんや、お嬢ちゃん、やるんかいな」と構えるわけだ。
大量の情報物質が北斗からも吹き出してくる。

コギト:「ふむ……。心を静めるのか……」

GM:北斗の情報物質を全て吸収した時に北斗は「無拍子」となる。



コギト:そしてこの瞬間……コギトはダイスが一つ増える。

弘:スーパーコギトォ!

GM:スーパーコギトォ!! 

どこまで行っちまうんだ!いよいよか?



コギト:知らない。行くよ〜。(コロコロ)

弘:コギトは吸引力の落ちない掃除機です。



GM:この〈調達〉判定の目標値は11とします。これを3回連続で成功させなければいけません。

コギト:まず、16。

GM:1回目成功です。

コギト:スーパーコギトには……。(コロコロ)ホォラいった。

弘:いったねぇ。



GM:襲い掛かる相手。情報物質を全て吸引すると……。







男は驚愕した。
北斗には殺気も怒気も闘気までも無い。

感覚に頼った男ですら、目の前にいる北斗を見失う。

刃が一斉に振るわれる。
必殺に見えるが必殺では無い。北斗を見失った男が、その体を捕らえんと網を放ったのだ。
しかし技量は神業。

北斗の全身を刃が刻む、何本も腹を貫き、ふとももを裂く。
しかし北斗は屍人。  そのまま走りこみ刃が閃く。

男は避けられず――
察知できず――
頭部の上半分を切り落とされる。

「……見事」

という呟きの中、男は倒れる。


コギト:なぁんでそんなに武人なの!

GM:倒れるんだね。

コギト:っていうか……北斗はどん……な。

GM:彼女体中を貫かれてる。もし北斗がただの人間だったら、こんな特殊な体じゃなかったら負けていた。
そして・・・・・・一気に周りに気配が現れる。彼の部下のエージェント達だ。

コギト:だぁーっ!



満身創痍の二人。
物言わぬ銀次に別れを告げることもできぬまま、男の部下のUGNエージェント達が襲いかかる。

雨が降り始めていた。




弘:「メチャメチャ気になるんですけど」

GM:「マジで?もし、アレだったら送ろうか?」

弘:「ヘリで! できれば武装ヘリで。」

GM:「ヘリはないな」彼は助手席で文句を言ってるんだね。「私が送らなきゃイカンのかね」

一同:(笑)

GM:助手は苦笑してるね。「はいはい」と言い。

弘:いたんだ。

GM:うん。助手は沢山いるみたい。家に向かっていくわけだ。





GM:一方 コギトの方だね。



雨の中刃が舞う。
男達の刃を刀が受け、返す刀が男を割る。

そこには、ただ――ただ――
必死さだけがあった。
悩むことも、泣くことも許されない。

血を流すことの出来ぬ北斗も返り血で朱に染まった。
コギトが北斗の情報物質を確保することで、北斗はまさに無拍子の剣豪になった。
銀次のレネゲイドウイルスの効果もあったが、もはや一般のエージェントの手に終える相手ではなかった。


GM:ただ、北斗の情報物質がこれほどまでに痛切に入る。

コギト:ああああああぁ。



北斗は何も考えていない。
ただ苦しく
ただ悲しく
ただ……ただ……

雨の中に斬られた死体が降り積もる
ひぃ・ふぅ・みぃの……ここのつ、とう……



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