サイドA 【エンディング】
シーンPC 若き族長アルテイ
そして全てが終わる。
草木の香り、光に包まれるようなそんな錯覚。
やわらかな土の感触、そして瞳には
何故だろう。こんなときに見るような顔じゃない。
それとも最後の脳裏に焼きついた光景なのか。
あの娘が覗き込んでいた。
「もう終わった。全部な」
ようやく気がつく。挑戦的な瞳も、憎しみも、全て彼女の瞳に映った自分の顔だったのだ。彼女は憎しみも向けず、かといって無視せず、その虚空の魂の全てを万人に差し出していた。
「問いがあれば全てに答えよう」

アルテイ:「あな…た……は、誰だ? ウルス族なのか?」
「カルディアと言う。ただ部族の者は私のことを『風(ウルス)』と呼んだ」
アルテイ:巫女……のようだ。
彼女が英雄だと思うものは、彼女の中に英雄を見出し、彼女が暴君だと言うものは、彼女の中にこの世の暴力と残酷さを見出した。映し鏡なのだ。
アルテイ:ああ、そうか……
「私にも願いはあった。私は皆が言う理想郷とは何なのか、わからなかった」頬に触れる手。
アルテイ:お母さんじゃ…ないの…か……な
「ただ、ただ、私はそれが知りたくて、知りたくて、その燃える魂に全てを委ねたのだ。そこに理想郷が…あるのではないかと……」
アルテイ:「あなたは……父さん…に、何を……委ねた」
「ありのままの私を。神ではなく、王でもなく――」
その全存在を燃やし続けるカルディアは
あの日――「ああ、これが、私の全てです――」そう呟いた。
「お前の瞳に、理想郷は見つかった?」
アルテイはふっ、と笑う。
「それが……分かっていたら……あなたには負けていないさ」
そう言って事切れるアルテイ。
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