共通 【それも一つのアルカデイア】
シーンPC 女騎士・シルヴアナ
謁見
大理石の回廊にしかれた赤い絨毯。左右に控える兵士達。案内する騎士たちは周囲を囲み。この状態は既に身動きが取れない。チャンスはあるのだろうか。
左右に騎士大臣が並ぶ中、応急の荘厳なる謁見の間の中央。巨大な王座をもてあます華奢な影。それは拍子抜けするかのような幼さとあどけなさを持ちつつ支配者として超然たる存在感をもった女であった。あどけない顔立ちに挑戦的な瞳。その瞳は無限に澄んでいた。
GM:「フィンチ王子の引渡し交渉の功労者をお連れ致しました」
フィンチ:僕は謁見の間にいよう。
ジィク:ヒルダ王女の傍らに俺も控えている。
女王が息を呑んだ。
ガルデンとシルヴァナは、互いの手にわずかに触れる。互いに手が伸ばされ――。
そののち歩いてくる。二人の姿は
それは蛮族と罵られる属国の男ではなく、
それを従える騎士ではなく。
その二人は、この時代と戦争が織り込んだ二人というにはあまりにも眩しく――
カルディアが目を細める。
もし、遺恨も憎しみもなく手を取り合えるのならばという、願い持つ人の――
ヒルダがため息をもらす。
一同の前に歩み出た二人。
それは決して共にすることも叶わぬ運命であったはずの二人。それが、この先の運命を共にしようと誓い合っていた。
「褒美に何を望む?」
ガルデンはしばし黙る。瞳をつぶる。
「あなたの命だ」
シルヴァナ:(言うと……思ったよ。)
フィンチ:「……!?」
飛び出すガルデン。
騎士たちが身を乗り出す、槍衾が立ちふさがる。
かいくぐる。短刀を抜き放つ。
カルディアは控えた侍従の差し出した刀を抜く。
カルディアの刃がガルデン走る。
シルヴァナ:(私は! ガルデンを!――)
しかし、その刃を浴びたのは、ガルデンではなく、彼をかばうように飛び出したシルヴァナで……
シルヴァナ:(もう決めていたんだ。私も)

ガルデン刃がカルディアに刺さる。貫き血が流れる。その掌に。
押さえられた短刀。
そしてガルデンは短刀を手放し、その両手で崩れ落ちるシルヴァナを抱きかかえる。見つめあう二人。
背を槍が貫く。
抱き合う二人、崩れ付す女騎士。
倒れたシルヴァナの横に崩れるガルデン。
――ふふ、まったく……奇妙な縁だな……――
二人の瞳が合う。手放された短剣がガルデンの背後に落ちていた。
――ああ……短剣を捨ててくれたんだな。
二人の周りの喧騒は二人には静かだった。
――惜しかった……後一歩というところであったものを……しかし、あの時の女王の顔を見たか?
あの眼差し、勝ったのは多分……俺たちだ――
手を握るシルヴァナ。
――ああ、お前はすごい奴だよ。お前じゃなければ、こんな大事にはならなかった。お前を女王に会わせてみたかったんだ。それは本当だよ……――
――お前を疑ったことなどあるか……――――
抱き合い手を取り、地に崩れる二人。
――恥じるものか……――
どうしようもない矛盾を抱え、それを言葉にもできない。
この気持ちをなんというのでしょう
これを――ロマンスというのです
フィンチ:「どうしてぇええ!!」僕は駆け寄る。
GM:騎士達の人ごみがそれに立ちはだかり
フィンチ:手を伸ばす。「何でシルヴァナ! アグニ!」僕ならきっと何かできたんだ!!
GM:女王は二人の上にマントをかけた。
彼女の目に宿った光は、
それは憧れであり、羨望であり、畏敬であった。
二人は決して今の時代ではたどり着けない場所に居た・・・・・・
二人は――いつかの未来にいたのだから。
そうしてこの一件は終わる。
Copyright(C)ゴスペラードTRPG研究班 (c) 2017.