GM:シルヴァナが呼び出されたのはガルデンが手当てをされている時のことである。キズに香油と布が巻かれ、時折唇を噛む。
シルヴァナ:かなり深い傷だ……。私が手当てをしよう。迷惑でなければ……。「凄いものだな……あの戦いを見させてもらった」
GM:衣服に袖を通すガルデン。「お前には役立ってもらうぞ」
シルヴァナ:「ああ。お前の願いとはなんなんだ?」と手を止めて……
GM:「王子を助けたという名誉で、俺を女王に謁見させろ」
アルテイ:ああああぁぁ! そうか!! そうだったのか!!
GM:そういって、先ほど使ったナイフの唾を外し、袖に隠す。こんなに小さく畳めるナイフなのかと目を疑うほどであり、それは掌のどこかに消えた。
アルテイ:ガルデンは女王を暗殺するつもりなんだ!!
シルヴァナ:確かに成功すれば、……バストラールは大混乱だ……これは……分裂どころじゃない。「な、な、な――」
アルテイ:そうすれば『反バストラール同盟』はバストラールに拮抗。いや、それを上回る最大勢力になるかもしれない!!
シルヴァナ:そうか……ランカスター伯爵はこれを聞いたんだ。そしてそれに乗った。でもそれって、ガルデンは戦では勝てないって考えているっていうことじゃないのか?
GM:そう。「どう足掻いても、戦になったら勝てない」というのはガルデンの分析なんだね。
アルテイ:ガルデンを死なせたくたないけど、この作戦が一番現実的だよな。ただ……行けば絶対死ぬ。
シルヴァナ:そうだ……。絶対に助からない。
アルテイ:成功しても失敗しても絶対にガルデンは死ぬんだよ。……これはシルヴァナの決断だよな。うん。シルヴァナに任せよう。
GM:ガルデンはキヌバに話す。「今までよく仕えてくれた。この戦いは俺が決着をつけよう。お前はこの後アルテイに仕えるのだ」キヌバは「一緒に来いとは言っていただけぬのですか?」と声を震わせる。
シルヴァナ:「ガルデン……お前」
GM:「キヌバ。お前は憎しみをこらえられる男だ。お前はことの顛末を見届けろ。堪えられぬ憎しみは俺が持っていこう」キヌバは尋ねる。教えを乞うように。「アルテイ様は、部族を変えていく。あなたとの考えも違う」
「アルテイの目に憎しみは無い。そして、部族も変わっていくのだ。どんな選択をしてもいい。かつての因果に縛られるよりはな」
シルヴァナ:「アルテイをどう説得すべきかと思っていたけど……そういう話ではないな」
アルテイ:ここはガルデンの男を立てて死なせてやるべきなんじゃないかな。
GM:シルヴァナはガルデンとともに山を降りる。夜明けの薄暗い中、霧も消えやらぬ内に隠れ家を出る。戦士達は知らないか。知っていて行かせているのだろうか。「お前もただではすまんぞ」とガルデンが顔を覗き見る。
シルヴァナ:「ふぅ……それはそうだな。でも……私は……どうしたらいいのだろうな」
GM:一方アルテイ。ガルデンが山を降りたことを知ったのは翌日のこと。ガルデンの部屋は出て行った当時のままであり、それでも帰ってくる気が無いのだろうと察せられる。
アルテイ:朝起きたアルテイ。「キヌバ。ガルデンはどうした。あいつと話したいことがあると」
GM:「あの方は、山を降りられました」無表情のキヌバ。
アルテイ:「ちょっと待て! 決闘で確かに俺はあいつに勝った。でも山を降りることはないんだぞ!?」
GM:「ようやくお話しすることができます」そしてキヌバはガルデンの考えを口にする。「女王と一騎打ちをする一心でその機会を伺っておりました」
アルテイ:「なんだって!?」
GM:「あなたが、戻られた時に覚悟を決めたのでしょう」そして小箱を差し出す。ガルデンが大切にしていた小箱には、自分が家族に当てた手紙が出てきた。書き損じの手紙、自分に送られていた手紙も。
アルテイ:「なぁ! この手紙は!?」
GM:「アルフォンシーナが存命のときは、彼女が書いていました。彼女亡き後、ガルデン様はあなたから届く手紙に悩み、彼女の気持ちを、彼女がいつも口にしていた言葉を代筆していたのです。おそらくそれを彼女も望んでいるだろうことを」
アルテイ:それを聞いて涙を流し、顔をぐしゃぐしゃにしながら、握り締めた拳を振るう。
GM:「これで私たちが隠してきたことは全てお話しました。ガルデン様は口ではあのように貴方をあざけるが、大切に思っているのでしょう」
アルテイ:「バカ野郎!」
GM:「アルフォンシーナが人々を連れて来た時、彼女の語る新しい道はガルデン様には不快だったでしょう。
ガルデン様の境遇を考えれば、ウルスの女子供を置くことは納得できぬ道。ですが、ガルデン様は彼女の説得を受けて、かくまってやりました。アルフォンシーナはガルデン様を愛することで、部族のわだかまりを癒せると信じていたのです。
ガルデン様は、そんな彼女を『女は夢ばかり見る』と突き放していました。しかし、失って思ったのでしょう。そうだったら、もっと良い話になっていたのに……と」
アルテイ:「くそ! セレス!」と俺は口笛を吹き、愛馬を呼び寄せる!部下達は……
GM:周りの部下達は勿論止めようとする。しかしその足元に弓矢が飛ぶ。コニーが弓を構えて牽制するのだ。「行くっすよ!ガルデンを止められるのはあんただけっすよ」さて、ここで君の選択だ。
アルテイ:おおおっ! そうか、ガルデンの代わりに俺が女王に挑むことはできるけど、多分死んじゃうよな。二人で行ったら、部族はサーシャがまとめる……のは不可能だな。
GM:死ぬかどうかがこの物語の醍醐味じゃない。君がどう生きるかだ。

アルテイ:そうか……決めたぞ。
「すまないコニー!」と馬に乗った時、突然馬が暴れ始める。
どんなに乗ろうとしても馬が俺を叩き落すんだ。「畜生! 畜生!」
GM:コニーは周囲を男達に取り囲まれる。「ついてないっスね」と袋叩きにされるわけだ。
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