
あらすじ
フィンチ王子が人質となり、バストラールがその奪還計画に頭を悩ませていた頃、アルテイは故郷を目指していた。
この時シルヴァナは既に囚われの身となっている。
サイドA 【渡る風〜荒廃した故郷〜】
シーンPC 若き族長・アルテイ
GM:故郷を目指す君とコニー。
アルテイ:パカラッ! パカラッ!
GM:しかし自分を迎えてくれた空は、薄暗い曇り空だったが、どこかそれが自分の見知った景色のようで、数年ぶりの帰郷は何かに迎えられているようだった。後ろからついて来るコニーは細い目を殊更に細めた。「なんか陰気なところっすね」
アルテイ:「言われるまでもない。でも、ここまでじゃなかったんだけどな」
GM:うず高く積み上げられた死体は腐敗し蝿がたかっていた。
アルテイ:おおお! ここまでなのかよ!
GM:埋葬する人々も無いまま、それは放置されていた。僅かな食事を求めて放浪する人々。ネズミを奪い合う子供。木には吊るされた人々が風にゆれていた。
アルテイ:「なんだよ! これが……こんなのが故郷だなんて、今でも信じられないよ」
GM:これが自分達の住んでいた土地だ。まだウルスの部族じゃない。
アルテイ:俺は足早に駆け出す!
GM:自然と足が速くなるのをコ二ーは駆け足で追いかけてきた。「待てよアルテイ!」
アルテイ:住人の人々に尋ねよう。「バルバッター! バルバッタパーラー!」ここにいたウルスの人々はどうなった!って声をかける。
GM:人々は荒事を恐れたか、蜘蛛の子を散らすように逃げる。「ひぃ」
シルヴァナ:(王国軍兵士)「反乱軍がいるのかぁ!」
アルテイ:分かりやすい(爆笑)
GM:そんな奴は出てこないから(笑)
アルテイ:「なぁコニー。変なんだよ」
GM:「言われなくてもわかってるっスよ」
アルテイ:「いやそうじゃない。風の音が聞こえないと思ったら、ここにもあるんだよ。インダストリアにもあった石の壁が。風通りがよくて揺れる葦原があったんだ」建物はどうなってる?
GM:やはりバストラール化・近代化が進んでいて、足元には石畳、壁は石造りやレンガの家、周囲には簡素ながらも壁で覆われている。
アルテイ:「建物だってテントがない」
GM:バストラール人も相当いる。移住が始まっているんだ。バストラールの開拓民が土地を求めて集まっているのだ。
アルテイ:吊るされている人たちはウルスじゃないのか。
GM:あれは他の部族の人々か、ここの開拓者だろう。
アルテイ:「この3年で何があったのだろうか」情報収集していい?
GM:いいよ。『ウルスの民はどこにいったのか』目標値は12。
アルテイ:(コロコロ)いったぁ。12が出た。
GM:途方もなく捜し歩く君の元に声をかける人がいる。部族の言葉だ。
アルテイ:思わず振り返る。
GM:「もしや、アルテイ様ではないでしょうか」とここからは普通に話そう。部族の間だからね。
アルテイ:「そういうお前は……」
GM:そこにいたのは歳を同じくする少女。ボロボロで簡素な服に肩掛けをしている。「アルフォンシーナ様に仕えていたサーシャです」
アルテイ:「あなたはアル姉さんに仕えていたサーシャさん」姉に仕えていた巫女の方だから、やっぱり尊敬してるんだろうね。
GM:自分たちの一家によく仕えてくれた侍従で、傍用人のようなことをしてくれていた女性だ。丈の長いスカートをしているが、石段を踏む足音がカツカツと高く響き、両足は義足になっている。その身を杖で支えているという姿だった。
アルテイ:「どうしたんだい。その姿は……」自然に落ち込んだ表情が出てしまう。
GM:「ここではお話できません。こちらへ」
アルテイ:コニーに目配せをして一緒にいこう。
GM:彼女に案内されて、庵に入る。自分たち部族の生活形式ではないところを見ると、ここの開発や文明の塗り替えは予想以上に進んでいるようである。
アルテイ:「教えてくださいサーシャさん。俺がいない間にウルスに何があったんだ」
GM:目頭を押さえるサーシャ。かまどの火を起こしなおす。「バストラールの軍勢がやってきて、我々ウルスの部族を含めて多くの部族が滅ぼされてしまいました」
アルテイ:「バカな! 姉さんは俺に手紙をくれていたんだ。何事もないって」
GM:「小部族達は追従の道を選び、ウルスはタタールとともに戦いましたが、敗れ皆殺しにされました」
アルテイ:「あのタタールが!」
GM:「ですがウルスとタタールは最後に意見が対立していたようです。ウルスの部族は女子供を逃がそうと戦い、タタールは女子供に構わず戦おうとしました」
アルテイ:さっきシルヴァナを襲った奴等はやはりタタールだったんだろうな。
GM:「族長ガイウス様は黒騎士のガレスに討たれ、アルフォンシーナ様は女子供を引き連れて離れたのですが……」
アルテイ:「姉さんは生きているんだな!」
GM:「わかりません。私の耳には入っていません。最後の争いの後、私は捕らわれの身になり、長く慰み物とされていましたが、今の領主の代に奴隷を許され今は町に身を置いています」
アルテイ:「その足は……」
GM:「逃げないよう。売り買いしやすいよう……」
アルテイ:「くそ! なんて奴らだ!!」唇を噛む。
GM:「現在の領主ワトキンスは黒騎士ガレスの帰ったあとに派遣されて来た領主ですが、根っからの悪人ではないようです」
アルテイ:「そうなのか?」
GM:「私も始めは憎しみ恨みましたが、土地の安定のために奴隷解放をしたり、人々の待遇を変えないように善処しているようでした。しかし、侵略された我々の怒りはそれでは収まりません」
アルテイ:「じゃあ、街角に吊るされた死体は誰のだ?」
GM:「あれはガレス王子に殺された人々です」
アルテイ:「ちょっと待て! 王子だろ! 国を率いる人物がやるようなことではない!」
GM:「わかりません! 名目は反乱分子駆逐ですが、時々やってきては狩りをしているのです。黒騎士といわれています」と泣きそうになるサーシャ。
アルテイ:「こんなものが狩りの筈はない。必要のない分までも取らなければ、獲物を辱めたりもしない。風の民を舐めている!」
GM:コニーは手を上げて、「はいはい、ちょっとといいすか。バストラール側の情報も集めたほうがいいと思うんスよ。俺は情報収集してくるっスよ。バストラール人の話をするのに、あんたじゃ目立ちすぎるッス」
アルテイ:「ああ、そりゃそうだな。すまないコニー」
GM:情報は収集はコニーの分も振って貰おうかな。目標値は12。
アルテイ:(コロコロ)13が出てる。でかしたぞコニー。
GM:これをやっているのは名目上はバストラールの女王カルディア。統治者はガレスという扱いになっている。彼の情報で彼が気になったポイントは「山賊が出るらしいっス」
シルヴァナ:山賊? 聞くからに弱そうな響きじゃないか(笑)
爆笑!
GM:「この山賊はバストラール人を襲っているらしい」
アルテイ:「その山賊って……もしかして」
GM:「その可能性はあるっスよ。で、領主ワトキンスが山賊退治のための募兵をしている。当然領地の人々はそれに乗らない」
アルテイ:「領主ワトキンスか。うーん。悪い人間ではないらしいが」
GM:ワトキンスは領地の不満が高まると委任統治で任される。
アルテイ:熱さまし職なんだね。いるよ。そういう役の人。
GM:悪い人ではないけど、味方でもない。言うこと聞かないと倒さなくてはならない。
アルテイ:そりゃそうだ。バストラールの人なんだからな。
GM:でもバストラール人の奴隷統治に対してガレスに意見をしてくれた人物なわけだ。
アルテイ:「サーシャさんはこの後どうするつもりです」
GM:力無くうなだれるサーシャ。「この足ではもう部族にも戻れません。足手まといになるばかり……」
アルテイ:「だったら俺たちと一緒にいきませんか」足ならセレス(馬)がいる。
GM:「こういっちゃ何なんですが……」と口を挟む。「足手まといなんじゃないんスか?」
アルテイ:「そんなことはない。立派に姉さんを補佐した神巫だ」
GM:ちょっとふて腐れるコニー。「まぁ、命令ってのなら聞きますけど……」と目をそらす。ぶつぶつ……。
アルテイ:「何だよ言いたいことがあるなら言えよ」
GM:「じゃあ、言わせてもらうっスけど。アンタ、腕は立つ。それは知ってる。でも人を守ったことはあるんスか?」
アルテイ:それは言われると、言い返せないな……
GM:「結局はこのコニー様がやることになるんじゃないっスか」
アルテイ:こっちもばつが悪そうな笑みを浮かべる。「悪いなコニー」
GM:「偉くなったら、国を一つ貰いますからね」
アルテイ:「当然だ。そうなったら、とっておきの酒場を作ってやるからな」
GM:「アンタにタダ酒飲ますだけの酒場なんていらないっスよ!(笑)」
アルテイ:「なぁんだよ。俺の精一杯の気持ちなのに! お前に最高の酒場をくれてやろうというのに!」
GM:サーシャはビックリした後、そしてクスリと笑い、「あ、随分と長く笑っていなかったわ」と、そして微笑む。
アルテイ:俺は今後は姉さんと合流するために色々情報を集めていこうと思う。これが次からの俺の方針だ。「じゃ、早速だけどちょっと行って来る」
GM:「どこっスか?」
アルテイ:「決まってるだろ? ワトキンスのところだよ」
Copyright(C)ゴスペラードTRPG研究班 (c) 2017.