Opening phase
【〜影武者計画〜】
船が難破し、命からがらこの地まで辿り着いたのは数名であった。
そして本来仕えるべき主君は船の沈没と共にその命を落とした。
ロバート:本当に頑健をとって正解だった。ニヤリ。
爆笑!
この任務の失敗は、その時点で決定していたはずだった。
この若者と一緒に遭難するまでは。
これは致命的なミスなのだ。
王子だと思ってつれてきた若者が、ただの他人の空似であり、
翌日、漂流する段階で初めて気がついた事実である。
ドラゴス:完全なる誤解。
GM:その時手を掴んで帰ってきたロバート、つれられて無事生還したのがドラゴスだった。
ドラゴス:俺ぇええ!!
爆笑!
GM:いかに冷静沈着と呼ばれようが、その話をきけば動揺は隠せぬものである。フレジェス宰相グラニアは落胆していた。「ダニエル王子は…亡くなったんですか……」
ロバート:「ええー。はい。」
学帽を被った黒髪の線の細い少年は、理知的な瞳を細めため息をついた。いつもであるならば知性と愛嬌をもって人々に愛されるその少年も、今は余裕は無い。
ロバート:「ちょっとした陰謀のような話でして。はい。」
GM:板金鎧を着た銀の騎士シグナスは、兜越しにジト目で見下ろし腕を組んだ。「説明してもらおう。装備品から王子の私物まで持ち帰りながら、何故肝心の王子がいない?」
シリル:その通りすぎる。
爆笑!
GM:「お前は事態を難解にする天才だな。」
ロバート:「お褒めに預かり光栄で!!」
GM:「褒めてない。」
爆笑!
GM:「先王の鷹狩りに警護に行って、帰って来たのは無傷のお前と首の無い国王。どうしてお前の有能さを信じられる?」
ドラゴス:ミラクル2回目でしょう。
シリル:それ一回で国がヤバイ。
ロバート:「私、体力に自身があります!!」
GM:「そうじゃない」
爆笑!
GM:グラニアはため息「あれを事故死と発表するのは大変でした。」
シリル:でしょうね(笑)
GM:「とにかく…どうする。このままでは王国は周囲の国々に吸収されるか侵略されるぞ?」
ロバート:「確かに。これは由々しい事態です。どうしましょう。」
ドラゴス:お前のせいだ!!
爆笑!
GM:グラニアは唇に指を当て考える。「そんなに人違いしたその人物は似ていたのですか?」
ロバート:「瓜二つです。判別できる人はおりますまい。」
GM:グラニアは笑顔。「私にいい考えがあります」
ドラゴス:えー。
シリル:これはヒドイことになる(笑)
GM:シグナスは不信感を剥き出しにしたジト目で、眉を潜めた。
ドラゴスの運命はこの訪問者によって回り始めた。
GM:いつものように、安宿に部屋を取り、帰ってきた時のことである。
ドラゴス:ロマリアでは仕官できなかったなー。でも沈没船で誤解とはいえ助けられたのは運が良かったな。
シリル:そこまでは。
ロバート:ダニエル王子が帰路を急ぐあまり高速艇を選んだのが間違いだった。そう、元を正せば…
シリル:元を正せば国王の死。
爆笑!
GM:訪問者はこともあろうに室内で君を待ち受けていた。
一人は法衣を纏った黒髪の男性で、魔法使いのようだった。メガネをつけ、穏やかな物腰ながら、その瞳は観察するようにしげしげとこちらを覗いている。
もう一人は室内にもかかわらず銀色の甲冑をつけた騎士であった。その甲冑の上に着込んでいる陣羽織・サーコートはこの騎士が身分の高い人物であることをうかがわせていた。
ロバート:そしてバケツを被った板金鎧の騎士ではなく鉄の塊。
シリル:アイアンマン。
GM:アイアンマンかよ。
ドラゴス:不審者だろ。
GM:場違いと言う意味では。
ドラゴス:ナイフを抜くね。護身用の。「な、なんだあんた達は、ここは俺の部屋だぞ!?」
GM:「驚いた。これはまるで瓜二つではありませんか」
ロバート:「でしょう?」
GM:青年はドルゴスの周りを一周しては、その容姿を確認してみる。「これならば仮に面識ある人でも違いに気がつくことはないでしょう。」
ロバート:「ふふ。悪いことを考えますね。」
GM:ニコッ(笑)
ドラゴス:ちょっとおおお!!
爆笑!
GM:「私は宮廷魔術師のグラニア。あなたにお願いしたいことがあってまいりました。こちらの騎士は警護のシグナス、そしてロバートです。」
ドラゴス:「そのあなた達がなんのようですか?」
GM:「はい。あなたにはとある人物の影武者を勤めていただきたいのです。」
ドラゴス:「お断りします。」
GM:「まぁ話を最後まで聞いてから、しかるべき報酬をご用意しましょう。」
ドラゴス:「無理です。」
GM:「そんなそんな、見た感じは難しくはありませんよ。影武者という身分の手前、地位や名誉を与えるわけには参りませんが、金銭やそのほか、望むのならば可能な限りご用意しましょう。」
ドラゴス:「やりたくないです。」
GM:銀の騎士は交渉には我、関せずといった面持ちであったが、拒否のたびに僅かに怒気にも似た感情を溢していた。
ドラゴス:「ノー!!」
GM:突然シグナスという銀の騎士は、隣のバケツの騎士ロバートの頭部を叩き潰し「お前に反対する権利はない。」
ロバート:のぉおおお!!
爆笑!
ロバート:なんで潰された???(笑)
シリル:身に覚えが(笑)
ロバート:……ある!(笑)
ドラゴス:「これは完全な誘拐じゃないですか。断固として拒否する!!」
GM:「これは国家の有事だ。ノーという権利はない。」と威圧するシグナスに対して、ロバートのベコベコの兜を叩いて直すグラニア。「まぁまぁ。」
GM:グラニアは困ったような表情で、諌めるように手を伸ばす。シグナスは控える。「そうですか。残念です。」 とグラニアは立ち上がり一礼する。
シリル:あれ、出て行っちゃうの?
GM:うん。
シリル:頑張って介入しないと、二人とも。
ロバート:(メンチを切って)「夜道には…気をつけて」
爆笑!
ロバート:「良いのですか?」
GM:「仕方ありません。無理強いはできませんから。少々ひねくれ者のご様子、矯正が必要ですね。」
ドラゴス:え!!
ロバート:ニヤリ「あなたは本当に悪い人だ。」
GM:ニコッ(笑)
ドラゴス:のぉぉおおお!!!
爆笑!
数日後。酒場で食事をしていたPC影武者。
酒場の主人は張り出された張り紙を見てはしげしげとこっちを見ている。しばらく凝視し、そして息を呑む。
ドラゴス:え、嫌な予感しかしない。
GM:入ってきた男達は、視界にドラゴスを留めると足を止める。そして張り紙に目線を送る。
ドラゴス:あ、張り紙にはなんて…
GM:張り紙「王子失踪。記憶喪失の王子を見つけたものには金貨500枚。」
ドラゴス:ちょっお、ちょっおっと待てぇええ!!
GM:「追伸、王子は大変腕が立ち、無傷で捕らえることは不可能。生きてさえいれば子細は問わない。」
GM:何食わぬ顔で政務に勤しむ宰相グラニア君。
ロバート:「あんた、怖い人やっちゃで(笑)」
GM:「まぁこれで、庶民の間にも王子が生きていることが噂で伝わるでしょう。」
ドラゴス:逃げ出す!!店を逃げ出す。
GM:男達が一斉に飛び掛ってくる。回避しなくてはならない。目標12
ドラゴス:(コロコロ)成功!!
GM:では次に頑健判定目標14.
ドラゴス:(コロコロ)13.失敗。
GM:では突然お腹が痛くなる。酒場の親父はガッツポーズ。コックは包丁を手に握って厨房から出てくる。
ドラゴス:ひどい。お腹が痛くなった。トイレに…こもるか。いや、出口が無くなる。トイレは罠だ。
ロバート:面白そうだ。隠密してその光景を見ていよう。(コロコロ)14.じーと見ている。
GM:表に出ると巨大な4頭立ての馬車が待ち構えている。「さて、そろそろ行きましょうかロバート君。」と政務の手を止めるグラニア。
ロバート:「はい。宰相。」
GM:不意に入り口があき、グラニア君が手招きする。「ささ、こちらへ」
シリル:すぐそこにいたし!(笑)
爆笑!
ドラゴス:これ、こ・れ・さ!!?行くしかないじゃないじゃない。
GM:そのグラニアは、すまし顔に悪戯っ子の微笑みを浮かべていた。
ドラゴス:最悪なんだけど!!!お腹を抑えながら馬車に逃げ込む。
一般人ならば立ち入ることの無い宮殿の奥の一室。窓一つない秘密の部屋。そこでさえドラゴスが知るどんな豪華な部屋よりも高価な一室に思えた。
ロバート:「お腹の具合はどうですか。」
ドラゴス:「最悪ですよー!!」
GM:「なんということだ。瓜二つだ。本物としか思えない。」「本物なのではないのか?」大臣ズは目を白黒させて周囲をぐるぐる回っていた。
ロバート:「いえ、偽者です。よく似た別人。」
GM:大臣が言う。「では。事情を説明しようではないか。」
ドラゴス:「あ、説明する気はあるんですね?」
GM:シグナス「ノーと言ったら殺す。」
ドラゴス:「もー、どうしたらいいんだよ!!?」
GM:「まぁまぁシグナス君」と、グラニアが説明するね。「実は先日鷹狩りに出ていた国王が急死しました。」
ドルゴス:それは俺も知ってそうだね。
GM:君はロマリアにいたからどうかな。でも庶民は知ってる。「本来世継ぎとして選ばれるのは王子のダニエル。しかし、残念ながら王の世継ぎである王子は、素行の悪さから勘当され海を隔てた先、ロマリア王国に追放されていました。」
ドラゴス:「呼び戻せばいい。」
GM:「はい、でも帰還の船が沈んでしまって、彼は行方不明…我々はよく似た別人を救出してしまったわけで…」
ドラゴス:あ、ここで納得。それが俺か。
GM:「このままでは王国は跡継ぎなしとして、上国バルチモアに併合されてしまうでしょう。そこで我々は影武者を立てることにしました。それがあなたです。」
ドラゴス:「うーん。でもこれ時間を稼いでどうにかなる話じゃないんじゃないかと。」
GM:「まぁ善後策はこれから考えるとしますよ。」
ドラゴス:「いや、でもねぇ……」
GM:「ノーと言ったら殺す。」
ドラゴス:「殺せるものなら殺してみろよ!!俺がいないと困るんでしょ。」
GM:突然シグナスの腕部が解放、銃口がいくつも現れ、キュイインという機械の駆動音とともに白熱したコロナがドラコスの眼前に広がっていく。
ドラゴス:ロボ?!
GM:「待ったシグナス君。待った!!」と一斉にシグナスを掴みかかる大臣達。
ドラゴス:「できるはずがない!!できるはずがない!!」
GM:シグナスは顔を覗きこんだ。「凄いね、お前。」
爆笑!
GM:「俺が常軌を逸した異常者だったり、国が傾くほどの短気な奴だったら、お前死んでるぜ?」
ドラゴス:「いや、国が傾くほどの短気なら、その地位にいないかと…それにそう簡単には殺されないでしょ?」
GM:「生きてさえいれば……」
ロバート:「シグナスさん?」
GM:グラニアは遠い目をして窓を開いた。「あなたは珍しい方だ。どうしてもあんな市勢に戻りたいなんて…」と窓の外にはサスマタをもって歩いている市民達の姿が目に入る。
ドラゴス:「あんただろうが!!その事態を作ったのは!!」
GM:「まぁ別に害を成そうというわけじゃ。」
ドラゴス:「なしたじゃないですか!!」
GM:「では、これからはその騎士ロバートと一緒に行動してください。」
ドラゴス:「待った!!それだけは許してください!」それデスフラグじゃないですか!!
爆笑!
ドラゴス:そいつと一緒にいた奴はみんな死にましたよ!!(笑)
シリル:いままでの伏線が効いて(笑)
GM:「ロバートさん。一つ言っておきます。あなたの責任ですからね。」
ロバート:「アッハイ。」
シリル:ここで責任を振る宰相。
爆笑!
ドラゴス:ところで、あの船の沈没ではそんな人が死んだんですか。
GM:いえ、王子だけ。
王様の仕事というのは退屈なもので、ハンコを押すだけの仕事といっても過言ではない。並べられた書面にひたすらにハンコを押し続ける生活に欠伸が止まらない。
ロバート:ボソッ「宰相。ハンコ押すだけなら、影武者にやらせなくてもいいのでは?」
GM:「王子が生きていると皆に思わせるための政治的なジェスチャーですよ。」
ドラゴス:「ここはどういう国なんですか?」
GM:では、まず国の説明を。
この国の歴史は元々一本の橋から始まる。
河をまたいだ一本の橋は、この辺りの交通の要所となり、それゆえ橋を見下ろす岩肌に砦が築かれた。
それが城になるころ、眼下に広がるのは町並みであり、ここは宿場町になっていた。
作物の取れぬこの地方の収入は、おもに橋の通行税であり、人々は高額な通行税に眉をしかめていた。
しかし、近年功臣に恵まれ、橋の通行料は無料化。さらに街道を通したことで人々の往来は増え宿場町として機能していた。
GM:「さて私達の現状を説明しましょう。我々の国は大国3つに挟まれ風前の灯です。」
ドラゴス:しかも正統性も無い。
GM:そういうこと。「ここは交易の要衝であり、各国への中継点として発展しました。岩山を削って作り上げた街道は、流れる川には橋をかけ、公共事業がようやく実った感じです。」
ドラゴス:「物流が発展を生んだんですね。」
GM:「で、どの国もここを奪い取りたいと考えています。」
ドラゴス:「それはそうですね。ここは元々バルチモアの属国なんですか?」
GM:「はい。」
ドラゴス:「よくこんな土地を許しましたね。」
GM:「いやぁ、当時は魔物は出没するし、人は来ないし、収入がない。耕作にも適さず資源もないないですから、管理しても赤字経営です。バルチモアは負債は丸投げしたんです。」
ドラゴス:「なるほど」
GM:「まぁ、バストラールも当時は小さかったし、ここまで手を伸ばす国は少なかったんですよ。交易路からは離れていました。」
GM:さてでは仕事を理解するには専門知識・政治。目標12です。
ドラゴス:(コロコロ)成功した。
王子の元に訪れた男達は、人目無くば追いはぎも日常という不貞の輩であり、その容姿もとても王に仕官するような風体ではなかった。
GM:モヒカンがニヤリと笑う。「略奪、虐殺、何をやってもいいと聞いたぜ!!」人の皮をマスクのように被った巨漢が言う。「殺したい!!殺したい!!」
ドラゴス:却下。
GM:「まだ何もやってないだろう!!」モヒカンの抗議も虚しく、シグナスは二人を引き摺っていった。
ドラゴス:ここの国の法律はどのようにして決まっているのかな。
GM:ここはバルチモア属国という立場であり、法律はバルチモアの法律が適応される。それでも、自治権を有している立場上。そういう自治法が敷かれているね。
ドラゴス:ふむふむ。
GM:では一つの知らせが届いている。
バルチモア隣接領土と接する村で、不作が続き、それで税が支払えないということで、期日を延ばしてもらえないかという直訴が合った。それがとある事情で、バルチモアの方に直訴が届いてしまい。これはけしからんと上訴に対する刑罰で処刑命令がおりたらしい。
ドラゴス:ん。そこは我々の国の村なんでしょう。何故バルチモアに対して知らせが届いたんだろう。
GM:「ええ、実は隣接領土・国境に近いということもあり、税の接収はバルチモアが勝手に奪っていたんです。」
ドラゴス:「我々の国の民から搾取していたんですか。」
GM:「面目ない話です。」
ドラゴス:「まぁ…ところで、今年はそんなに不作なんですか?」
GM:「いえ、我々は交易から収入を得ているので、税はあまり取りませんし、村も不作と言うわけではなかった…でもバルチモアでは不作なんです。」
ドラゴス:「んー。これは悪いのはバルチモアで、村人にはなんの咎もないじゃないですか。」
GM:「でもここは、バルチモア属領なのです。」
シリル:辛いお仕事ですね。
GM:けしからんとウラヌス国王は村を焼き払うように命じた。
ドラゴス:それで村を焼くとは……もう焼かれたんですか?
GM:まだ。こちらは従うだけ。
ドルゴス:これにハンコを押すの……んー。
ロバート:「では焼きますか!!」
シリル:あんた誓いで人を殺せないでしょうが(笑)
ロバート:「いえ、その命令書には不備があります。村を焼けとは書いてありますが処刑しろとは書いてありません。」
ドラゴス:「あ、なるほど。」ちなみに隣の領主は?
GM:「アンドレアル伯爵」
ドラゴス:うっわー。あの人の跡継ぎか…後任か…いや、俺の中のアンドレアル伯の後はあの人だけだ。
ロバート:「いかかします?」
ドラゴス:「よし。村民は逃がし、受け入れ先はこちらで用意しよう。それでもってウラヌス国王の命令は遵守し、村は焼き払う。これが命令だ。」
GM:シグナスは思わず二度見していた。あってはならないことである。国王の言動に騎士大臣も動揺する。グラニアは目を丸くしていた。
ロバート:「私は自分の馬すら所持していない騎士です。村を焼く命令を遂行する為には時間がかかります。」
ドラゴス:ダメジャン。
ロバート:いや、村人の移動のための時間を稼ぐという意味で。
ドラゴス:あ、なるほど。
シリル:おお、いい国王。
ドラゴス:ウラヌス国王からは睨まれそうだな。
GM:グラニアが提案。「では私が使者となり、ウラヌス国王に進物を捧げましょう。そして不行き届きを詫びれば悪い気はしますまい。」
ドラゴス:「じゃ…それで。」
ロバート:「畏まりました。陛下。」
GM:部屋まで案内されたドラゴス。それまでグラニアは一言も話さなかった。ただ別れ際にポツリという。「ありがとうございます」と呟いてドアを閉めた。
ドラゴス:あ、よかった。OKなんだ。
GM:と、間をおかずにドアがノックされる。
ドラゴス:「ん、なんです」
GM:ドアを開けると立っていたのは銀の騎士シグナス。いきなり顔面の拳が叩き付けられ昏倒。「貴様、いい加減にしろよ。お前はただの操り人形だということがなぜわからん。お前が疑われたらどうする?それだけで危ういのだぞ?」
ドラゴス:「ちょっとあんたぁ!!」
GM:「次は許さん。いいな。」
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