Ending phase
【そして戦はなおも続く……】
兵糧拠点の都市は堅固な城塞都市であり、この攻略を正攻法で行えば数ヶ月はかかったことだろう。まして城攻めの下手な北方民ならば、落とすことは不可能だったのに違いない。
サラミス亡き後の守備兵は、ろくな抵抗もみせずに敗走した。もはや拠点防衛に対する士気は存在しなかった。
GM:既に都市では酒盛りが始まり戦の勝利に酔いしれていた。
イヴァン:驚いたな。主役差し置いて酒盛りをしてしまうんだから、この馬鹿共は(笑)
爆笑!
イヴァン:「既に始まっているのだな(苦笑)。」まぁ北方民はこんなものか。
この勝利は彼らにとって信じられない大勝であった。数倍を誇る兵力を正面から破ったこの戦は、北方の歴史でももっとも栄誉ある戦となっただろう。
イヴァン:実際……薄氷の戦だった。
GM:蛮族の兵士達が王国の旗を引き剥がし、アドホックレルムの旗を掲げている。
イヴァン:そんなことしているから侵略国から恨まれる。止めないけどな。
GM:フラガッハは合流したイヴァンを出迎えるように歩み寄る。そして隣を並ぶ。「どうだった?」と別れ際のイヴァンとサラミスを思い出す。
イヴァン:「討ったさ」
GM:「そうか……見事。」と褒め称える。「実際信じられない腕前だった。この王国にお前と並ぶ者がいるとはな」
イヴァン:「ああ。」
GM:不意にイヴァンのちょっと感傷的な雰囲気を感じ取り見つめる。
イヴァン:では見下ろす。「前の魔境の戦と同じだ。あの時のお前のように、俺もサラミスは因縁浅からぬ相手、少し感傷的になっている。」
GM:フラガッハは理解すると戦士に命じた。「あまり馬鹿騒ぎはするな。」
イヴァン:「いや、お前達は勇者だ。勝利したのだから好きにしろ。」
GM:フラガッハも続ける。「よし、お前ら。騒いでいいぞ。だが、イヴァンの天幕には近づくな。今夜は静かにしてやれ。」
イヴァン:「少し歩いてくる。」
GM:「戦士にも休息は必要だ。」
GM:イシュカは木箱に腰掛、ぼーっとしている。
イヴァン:「どうした。イシュカ。」まぁわからんでもないがな…
。
GM:星を見上げるイシュカ。「何か…色々なことが終わっちまった。ポッカリと穴が開いちまったみてぇだ。」
イヴァン:「その通りだ。色々なことが終わった。だが、お前はこれから、色々なものを手に入れていく。それで穴は埋まるさ」
GM:「自分に言い聞かせてるみたいだな。」
イヴァン:肩をすくめる。「そんなつもりはない。」
GM:「いいさ。生意気な口はきかん。」
イヴァン:「お前のキズは消えて、お前はそれを証明している。」
一人の子供がいた。
祭りや酒宴の雰囲気から明らかに浮いている。まるで迷子のような姿だ。
イヴァン:「母親の死の直後に、父親を殺害して、子供をつれてくるとか…俺は悪魔か。」……不憫でならん……。
GM:「ああ。酷いヤツだね。でも王国においておいたら処刑されるだろうし。」
イヴァン:さて最後に俺は次回への引継ぎもかねてスターシャに会わないとならない。今回はこれで終わりかな。「スターシャを呼び寄せてくれ。」
銀峰領の砦に待機していたスターシャは、随時届く戦勝の報告に安堵していた。どうやら、イヴァンとサラミスの因縁は、イヴァンの勝利によって幕を閉じるようだ。
イヴァン:王座に腰を下ろす俺。さすがに今回は少し疲れたな。傍らに盾を置いて外の景色に視線を移すか。
GM:その場に足音が響き、スターシャがコツコツと歩み出る。「戦勝。お喜び申し上げます。」と一礼。
イヴァン:「ああ。作戦は上手くいった…しかし、サラミスは予想以上に備えていた。勝利も敗北も全て握っていたのはアイツ自身だった気がする。」
GM:「あなたの勝利です。イヴァン様。」
イヴァン:(ニヤリ)「これを見ろ」とスクロールを差し出す。
GM:受け取ったスターシャが中を確認する。「これは…サラミスの直筆ではありませんか……どうやってこのようなものを…」サラミスの性格を知れば、このようなものを手に入れられるはずはないと理解できる。
イヴァン:「書かせてきた。これを用いて和平を結んでくれ」
GM:「わかりました。どのような条件で?」
イヴァン:「王国との不可侵の和平協定を結ぶのがよかろう。今さら王国への帰属はありえん。サラミスと騎士団という主力を失い、王国はもう戦をする力はあるまい。無理な和平案も飲み込むはず。」
GM:「宰相を討って…はたして王国が納得するでしょうか?」
イヴァン:「してもらわねばならん。」
GM:「もう一つ妥協案も頂きたいのですが。」
イヴァン:「では…休戦だ。こちらも王国も戦の後だ。時間が欲しい。その時間を和平につかうこともできるだろう。」
GM:「かしこまりました。必ずや締結します。してみせます。」彼女は最後にして最も困難な使命を引き受けた。スクロールを手に入れたことがどれほどイヴァンが不可能に挑戦したかわかる。今度は自分の番なのだと。

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