
ヘンリー




「わしは×××じゃ!」の話し方で尊大さを醸し出すのがこの異端王子ヘンリーです。
その急転直下の人生には大いに笑いました。
隣国の介入で政権が奪われ、世間知らずの王子様が怒りに起こした戦は当然敗戦。
救済の手を差し伸べるはずの教会に、異端の吸血鬼信仰を掲げた王子様は追われる羽目になり…、果ては金貨50万の賞金首となります。
「絶対に捕まらない!」と豪語した『鴨』。道はちゃんと待ち伏せがある方を選んでくれるし、楽しいぐらいに罠に落ちる。
『捕まらない発言』直後に賞金稼ぎクラスヌイに捕まるという劇的な転落人生には、あまりにまっ逆さま過ぎて笑えました。
クラスヌイと出逢いを転機にヘンリーはクラスヌイにプロデュースされていくわけですが、一人でへっちゃら、自信満々のヘンリーが次第に素直に学び、すくすく成長していく姿がこのキャンペーンの見所でした。
《異端》
ヘンリーは吸血鬼が友達、悪魔を信仰という異端の固まりです。全ては彼の生まれに由来します。
王国の王子である彼でしたが彼の生まれは幸せではありません。早くして父を亡くし、母の再婚によって王権すら危ういという立場にあり、彼は少年時代幽閉されて育てられました。
孤独の中、彼を誘惑したのは悪魔ロノウェーであり、彼はロノウェーの紹介でラロッシュとイリヤという二人の吸血鬼と友人になります。二人とは苦楽を共にする親友にとなりましたが、そのおかげで彼は吸血鬼に心を許すようになったのです。
一方、教会対してヘンリーは極度の嫌悪感を抱いています。
吸血鬼を「悪しき友達」として警戒した母親の依頼によってやってきた教会の異端審問官は、二人の友達を拷問にかけます。これを目の当たりにしたヘンリーは教会という組織を嫌悪します。
《武名が凄い》
さて無能さが際立つヘンリーでしたが、凄いのはズバリ武名です。意外なことに剣の腕はかなりなもので、御座敷剣術には収まらない達人ぶりを披露します。
名門貴族アルビレオがヘンリーを助っ人と認識するぐらいの腕前です。
普通のTRPGでは、腕が立てばだいたい一目置かれるものですが、そこは欧州幻想戦記、大切なのは国が勝てるかです。そういうわけで、開始時期は負け組人生を甘んじてしまいます。
しかし後半は、クラスヌイをはじめ機知に富んだ仲間達に恵まれ周囲が固まり、本来の武勇が発揮されます。ヘンリーは本当は強いんですから。
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