弥生発見

GM :リビングのほうに君たちが行くとまた障子の向こうで何か動いてる影がある。

ヨシア:困りましたね。ここでカバンの中のスタンスローターを投げる…カバンも車の中です。簡易的なものをなにか作りましょう。

十蔵 :(構わず)襖開ける。

GM :ガラリと開けると一人の女の子が食器を片付けている。

ヨシア:何者ですか!

十蔵 :お邪魔してます。

GM :あちらのほうは「お帰りなさい」とか言いながらこっちの方を見るけど…ちょっと怪訝そうな顔になる。彼女が弥生です。

ヨシア:おかえり…?

十蔵 :ただいま。

ヨシア:いやぁ…人の家で何やってるんですかとか言われそうです。(弥生になって)「十蔵先生じゃないですかぁ」って。

十蔵 :別に説明すべきことはない。

ヨシア:(弥生)「どういうことなんですかぁ?私全然わかりません!」

十蔵 :どうもこうも見ての通りだ!

GM :彼女はしばらく目をパチクリして見ているけど。

十蔵 :家庭訪問です。

GM :「あれっ?十蔵先生!」

ヨシア:弥生か。

GM :「あれ吉亜先生も」

十蔵 :暇だからついてきたんだ。

ヨシア:ええまあなんていうかねぇ。失踪中の人たちを探しに来たんですよハハハハハ。

GM :「二人ともなんでここに?あれ?」と言いつつ頭を振る。

十蔵 :まあ、立ち話もなんですからお座りになって。

GM :「どうも…あれ?」

ヨシア:突っ込みどころが多すぎてもはやどうしてよいやら。…さてとなにかおかしなことが起こっているようですね。

GM :「えっと…私は…ここに睦月を探しに来たんです」

ヨシア:何月何日?今が何月何日か言ってみろぉ!

GM :どうも昨日辺りのようだ。

ヨシア:やはり彼女の時間的な感覚は狂っています。もしかしたら私達もかもしれない。

GM :「家のほうにもいなかったんで多分こっちのほうにきたと思ったんですよ」

十蔵 :ここが家とちゃうの?

GM :こっちは古い家らしい。今はお家の事情で、もっと小さなアパートで暮らしてるらしいね。

十蔵 :なるほど。生活感がないわけだ。

ヨシア:いや、しかし少なくともこの子はこの中で24時間は暮らしたことになります。そうするともう少しなにかしら変化があってもおかしくないのでは?1回は寝なきゃいけないわけですし。

GM :「弟の睦月は…」

十蔵 :一緒にこの家に入ったんだけど。

GM :「え?それいつですか?」

十蔵 :何分前?

ヨシア:うーん。なんとも言い難いですね。入ってからの時間の感覚ってかなり怪しいものがあると思います。

十蔵 :入って、この家をうろちょろして、お茶を一杯ご馳走になるぐらい。

ヨシア:小一時間はあったかもしれないですよ。慎重に調べましたし。

GM :彼女は十蔵が持っているぬいぐるみを見ると「あっ」と言ってちょっとうれしそうな顔をする。

ヨシア:呪いのぬいぐるみじゃなさそうですね。

GM :「弟のぬいぐるみです。引越しのとき、汚いからって捨てられちゃったんですよ。もう見つからないかと思ってたけど。ちょっとうれしいな」

ヨシア:私も聖書捨てられたら怒りますもん。

十蔵 :でもこのぬいぐるみビショ濡れで廊下に落ちてたんだけど。

GM :「ゴミに出されたはずだけど…ああこんなトコ破れちゃって」

ヨシア:このぬいぐるみにはなにかしらの意味があるんですよ。まず足が破れていること。この館には命の形跡があるが、それは物から感じられること。

十蔵 :まあでもとりあえず弥生が見つかったから後は睦月を見つけるだけなんだけどね。

GM :「睦月は新しい家に引っ越したのがあまりわかってなかったみたい。住所変更届けだそうと思ってたんですけどね」

ヨシア:ゴミ捨て場で倒れてたってのは猟奇的ですね。

十蔵 :かなり。どうする?新しいほうにも行ってみる?

ヨシア:新しいほうには行けないんじゃないんですか?

十蔵 :なんで?

ヨシア:なんとなく。少し離れたところにあるんでしょ?

GM :校区内ではあるけれど少し遠く。

ヨシア:出られるか試してみますか。

十蔵 :ん。じゃあ普通に出る。

ヨシア:ここで待機して様子を見るか。

GM :庭で大きな犬と目があったような気がする。

十蔵 :危険だねぇ。ヘルハウンドだ。

ヨシア:ヘルハウンドなんかいませんから。私が追い返してやりますよ。

GM :犬小屋の後ろになにか影っぽいものがいる。

ヨシア:犬かもしれないし、犬じゃないかもしれません。

GM :雨は降り続いている。

ヨシア:まだ降ってます。そっちのほうが問題ですよ。

十蔵 :別に雨降ってても出られるじゃん。

ヨシア:犬を撃退する方法を考えましょうか?

十蔵 :いやぁ。やろうと思えば全力でやるんだけど。

ヨシア:そういうんじゃなくて。

GM :「ちょっと待ってください。え〜とうちのペスは親戚のほうに預けてますからここにはいないはずです」

十蔵 :でもいるんだよな。

ヨシア:これは犬じゃありません。ちょっと待ってください。発砲するまでもう少し待ってください。今はまだ銃撃てませんから。まあいいや。この家にはまだ何かあるんですよ。その子がいる。それを探せばいいでしょう。

十蔵 :むぅ。

ヨシア:このぬいぐるみはその子本人か友達の人形でしょう。

十蔵 :ていうか弥生この家にずっといた?

GM :「えっと…睦月を探しに入って…こんなに遅くなったつもりはないんだけれど…ちょっとおかしいですね」

ヨシア:睦月君のことを弥生ちゃんからもう少し聞いたほうがいいかもしれません。そもそも私たちが会ったのがホントに睦月くんなのかも怪しいですよ。

GM :容姿は大体あってるみたいだ。彼女曰く睦月君は新しい家になじめなかったみたいで、時々「お家に帰りたい」と言っていたらしい。だからこっちに来ているんじゃないかと思って探しに来たらしいね。

ヨシア:実際に睦月君には新しい友達はできなかった!そうですね。

GM :「う〜んそこまではちょっとわからないんですけど…」

ヨシア:新しい友達がいれば古い友達に会いに行ったりするでしょうか。5歳の男の子の生活範囲は広くないはず…。

十蔵 :まあでも睦月を見つけるのが先決だよね。

ヨシア:うん。

十蔵 :いるのかなこの家に。

ヨシア:それはいるみたいです。そんな気がします。ただ、我々がそれを認識するための方法がいくつか必要なのではないかと。

GM :「あとおかしいんですよね。私しばらくここにいたみたいなんですけど…ちょっと頭がボウっとしたのかな?ここの家でお父さんやお母さんを待ってたような気がするんですよ。お父さんのほうは今単身赴任だから…遠くへ行ってるのに」

十蔵 :時計って普通に動いている?

ヨシア:私たちの時計と時間差を調べてみましょうか。

GM :そんなにズレはないように思えるかな?

ヨシア:そういうものはみんなまとめておかしくなるもんですよ。

GM :ただ、テレビのほうは…知識を振ってみて。

ヨシア:テレビ見ないからわかんないです。

十蔵 :NHKとかなら時間がわかるかもだよぉ(コロコロ)…16。

ヨシア:−5。それ見てます。毎日この時間につけると占いやってるトコあるじゃないですか。

GM :うむ。でもこの番組は先月終わったはずだ。

ヨシア:この番組は先月終わったはずです!ホラこのコーナー!最悪だと思ってたんですよ。あ、これも潰れたはず!

十蔵 :…結構暇なんだな。

ヨシア:なんてことを!


思いがけずテレビに詳しい吉亜。
サイコロの目に裏切られています。


十蔵 :うーん。テレビもおかしいね。

ヨシア:時間の感覚もおかしければなにかこの空間自体がおかしい。一番幸せだった時間を繰り返しているのかもしれないですよ。

GM :弥生は唇をかむような表情をして「睦月〜」と呼ぶ。「いるの〜?でてらっしゃい」

ヨシア:やぁぁ。もし妖怪が出てきたらどうするんです。あと11分は戦えませんよ。

十蔵 :全力で逃げるとか。

ヨシア:11分間弁舌で戦うしかない。「無駄な抵抗はおよしなさい」ってそんなのこっちですよ。さてと、睦月がどこにいるかでしょう?調べてないトコにいるかも知れないじゃないですか。

十蔵 :とりあえずオマエはトイレな。

ヨシア:トイレじゃなくて。ここはもしかすると絶対調べない。でもいたら怖いなって所を調べてみましょうか。…乾燥機の中とか。

GM :怖っ!

ヨシア:怖いですよね。私しか乾燥機使ってないのに。

十蔵 :その服って誰の服なの?

ヨシア:そういえば。十蔵が持ってきた服は…。

十蔵 :俺じゃないって。

GM :ああ。お母さんの服だ。

ヨシア:この服脱ぎます。着替えてきます。乾燥機に入れておこう。誰が犯人ですか。

GM :君が乾燥機のほうへ行くとヒュっと服の裾を引っ張られた気がした。

ヨシア:んん〜?何しやがる!さっさと着替えましょう。

GM :「睦月は乾燥機の中に入ってたことはないけど…」

ヨシア:冷蔵庫に入ってた?

GM :どうして死にそうなトコばっかなんだ!「押入れとかよく入ってましたよ」

ヨシア:…もしとてつもない大きい睦月が入ってたらどうする?

GM :怖い。

十蔵 :後はまかせた。

ヨシア:うわああ!じゃあ押入れの中見てみましょうか。

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