◆◆◆ エンディングフェイズ ◆◆◆ Miracle seed |
GM:まず、最後の願いなんだね。弘君。
情報物質が吹き荒れ、情報が吹き出していくなか、肉体を失う錯覚をする。
弘の肉体も精神も圧倒的な情報量とウイルスの渦の中で、消失しようとしていた。
弘:はい。
真白がいた。
弘:「うん……」
「願いが叶った。もうちょっとだけ一緒にいたかった。ちょっとだけだったけど暮らせた。」
GM:自分もミラクルウイルスに、真白に触れてるんだね。
もしかしたら今この瞬間は自分と真白はほとんどおんなじものかも知れない。
弘:あぁ。
二つの心を隔てるものはそこにはなく、真白の気持ちの全てがわかる。
真白は、たとえ何がおころうと、それでも一緒にいたいという願いを抱いていた。
「でも……もうお兄ちゃんも、多分消えてなくなるよ?」
真白は寂しそうな顔をした。
「願い事は……ある?」
GM:で、選べるんだね。
真白は手を伸ばして……一緒に旅立つこともできる。
でも、北斗と一緒に生きることもできる。
弘:……うん。
GM:真白の気持ちとかもここには無限に流れていて、わかることがある。
「どんな場合でも決してお別れではない」と言うかな。
たとえどんな形でも、誰を選ぼうと、どう生きようと、お別れはないんだよ。
弘:なるほど。
GM:奇跡は君の願いの全てを叶えるだろう。
一緒にいることも、北斗と一緒にいることも全てを叶えるだろう。
ただ……それでも真白の願いが叶うかは……また別という。
弘:……。
GM:……。
弘:「……兄さんは北斗のとこに行くよ」
GM:すると……ちょっと寂しそう。
真白は悔しそうに苦笑。
「じゃあ、サヨナラだね。」と笑顔で笑って、そして真面目な顔になる。
飛び立つ真白ウイルスも、クラウドにコネクト。
真白は世界中のミラクルウイルスと交信。
その全ての情報を放出し、クラウドから世界中の情報を引き出す。
この地上に存在していた全ての歴史と情報を復元し、
弘の生誕から、今までの全ての情報を回収・構成していく。
弘だけじゃない。UGNエージェント。
巻き込まれた人々、狂おうというという世界の全ての復元を開始する。
世界は再び構成される。
真白ウイルスは全ての役割を終えると弘の奇跡になった。
弘:・・・おおっ…
GM:真白はこの世界を黒にも、白にもできた。
自分の色をつけることすらできる。でも真白の作った世界は、真っ白だった。
弘:真白・・・。
コギト:ふう〜。
GM:はい(笑)。というわけでコギトと北斗のほうか。
弘:……そうだ。北斗のトコ行かないと。
GM:そうだね。北斗のほうに向かっていく。我に返って「あ、気が付いた」って誰かがいう感じだ。
GM:君のほうだね。コギト。君も同様に青嶋北斗の情報を集めていける。要するに全ての情報は手に入っているのだ。
コギト:うん。
GM:直すことは……すごく簡単だ。要するにちょっといじって、スプレーがかかれば助かるはずなんだ。
コギト:ふむ。もちろん……そうしよう。
青嶋北斗の情報を集める。
青嶋北斗の誕生から今までの情報がクラウドには存在をしていた。
大地や父親、銀次だけではない、弘や赤羽、それどころか物や場所からも北斗の情報を回収できる。
コギトは今この一瞬クラウドを超えた。
物や時間に宿る情緒や意味合いを理解し、そこに意図を持ってこれる。
北斗の体は修復される。
しかし……北斗の命は既に消えていた。
北斗は生き返らないのか?
GM:北斗の命を書き換えられるかというと、それはまた違うんだね。彼女は死んでるんだ。
コギト:「そう……か。そうなのか……」
コギトは知る。
クラウドには蓄積してきた無限の英知と、そして奇跡の歴史が刻まれている。
コギトは、ミラクルウイルスは情報物質の海から生まれた知性だった。
ここに奇跡の力が加わり生命が誕生した。
それをやればいい。
GM:来てしまったね(笑)
GM:というわけで、北斗に対して、最後にウイルスが侵食するんだね。
コギト:「うむ!」
GM:これ、エンディングなんで、最後の計算をしなきゃいけないね。
コギト:バックトラックか!
GM:バックトラックをここで振ります。無事に帰ってこれるか。さて、いくよ?え〜ボスのEロイス。
まずは相手は《破壊神顕現》この世界をおかしくする可能性があったので。
コギト:まったくだ。
GM:そして《究極存在》。これはクラウドだ。
コギト:なるほど。究極でしたね。
GM:究極存在です。有り得ない存在ってのがあるんだけど、そん中には特殊能力のある奴が二人いました。
敵データの中に取れないロイスを取ってる奴がいるんです。
コギト:うん。
GM:《虚実崩壊》と《愚者の契約》があるので、1、2、3……6個。6Dまず減らせる。
コギト:6Dかぁ。決して多いとは言えないな。
一同:(笑)
弘:これクリティカルするの?
GM:これは拒否できるけどクリティカルはしない。
コギト:拒否とか訳わかんねぇよ。
GM:要するに減りすぎると経験値が減るんだよ。
100より切っていたほうがいいけど、70以下になるともったいないって感じ。
弘:あ〜。
コギト:(コロコロ)なんか脳みそが回らないわ。え〜と28?まずいねぇ。
GM:平均だよ。何個振れる?
コギト:まずは2倍ぶりで。ロイス一つも切ってないからね。すごいね。Sロイスってなんか特別な効果あったけ?
GM:そういう時には意味がない。
コギト:6Dの2倍だ〜。
弘:ロイス分ダイスを振るの?
GM:ロイス分減らすことができる。2倍にしても1倍でもいい。2倍の方がちょっと経験値が上がる。
でも、下がりすぎると減点される。
コギト:当然2倍だ!
弘:さっきの拒否しても……。
GM:さっきの拒否してもいいよ。今なら。始めだからね。
コギト:(コロコロ)うぅわ。
弘:いっかな。(コロコロ)
コギト:わっかんねぇよ?10でしょ20でしょ30でしょ40でしょ?すげぇ!50でしょ60でしょ、え〜と。67でしょ。74。
これもういったんじゃね?74とかいってるもん。
GM:うん……いくんじゃないかな?
コギト:これだったら1でしょ2でしょ?……マイナス102。
一同:いった〜!(笑)
コギト:帰還した〜!
GM:帰還した〜!
コギト:ふぅ……。いやぁ〜。危なかったねぇ。ちょっとここまでいったのは。……ふぅ。(安堵の溜め息)
GM:そっちはどうかな?
弘:大分減ったねぇ。68。
GM:あ〜惜しかったねぇ。70で上がるからね。
弘:まぁでも、1点上がるのよりは3点の方がいい。
結論から言うと、世界はあまり変わらなかった。
あの事件の後、UGNは一同を制圧したが、そこにはコギトの姿は無く、もはや結果も何もわからなかった。
GM:やってきた御堂。まったくわけがわからない。
大変なデータが出ているけど、データの上では大変だけどよくわからない。
コギト:御堂のほうなのかい?金沢じゃなく。
GM:金沢はね。実際のところ検挙されちゃうんだよ。
コギト:そうか。
GM:でも、まあ、どうしようもないからね。わけがわからないから釈放されるという。
弘:俺らはどうなんの?
GM:さてと。君はだね……。
相川弘はあの一件以来、オーヴァードを力を失っていた。
どういう理由で人間に戻れたかはわからない。
とにかく、今はただの人になっていた。
GM:それについて、御堂は全くどうしようもない。まったくわからないみたいだ。「奇跡だ」と言うわけだ。
GM:というわけで金沢教授は……。
金沢教授は今は患者を山程抱えていた。
レネゲイドウイルスの初期感染を治療できる画期的方法は人々に希望をもたらせた。
今も学者の前で発表をしている。
「同様の性質を持つものは性質上、安定化するために互いに吸着する。
その特性を利用してウイルスを吸着、変質前のミラクルウイルスを感染者から取り出……」
GM:……という理論を上げ、彼は学会で話をしているが。
一同:(笑)
御堂は咳き込む。
「教授……レネゲイドウイルスです」
コギト:よかった。「捕まえろ」とかじゃなくて(笑)。
金沢は思う。
(「私の願いが叶ったのなら、名前もミラクルウイルスになれば良かったのに」)
弘の姿を見掛けて金沢教授が走ってくる。
GM:「やぁ弘くん元気?」
弘:「ええ、すこぶる」
GM:「はっはっは……ここはUGN関係者ばかりでイライラするからあっちで話そう」
弘:「ええ、まったくです!」
一同:(笑)
コギト:わかりやすいな。半分以上こいつらのせいの死傷者だよ。もぉ〜!
弘は今は莫大な保証金を受け取り悠々自適な生活をしている。
一応食っていけるのだが、遊んでばかりもいられないので一応大学を目指している。
弘:え、なんでUGNから出てんの?
GM:UGNはやっぱりね。君たちに迷惑かけたからね。
家族の死とかそういったことに対しての保障はしてくれるみたいなのね。お金要らない?
弘:え。いらないとは、言っていない。
GM:もちろんUGNに責任はない。でも、彼らは悪の団体ではないからね。
弘:悪の団体じゃないんだ!?(驚)
GM:実はね。
コギト:恐ろしいことにね。……確かにあの浮浪者みたいな危険な存在を狩ってるのは彼らなんだけどぉ……しかしね!
「君はあれ以来普通の人間になっちゃったんだが、私には一つ仮説がある。
聞いてみるかね?」
弘:「うん。どぞ」
「ミラクルウイルスは誰でも発動するものだ。
感染したとか、してないとか。彼らは数値だけを見ているが、私は違うと思う。
人は誰もが奇跡を起こせるんだ。
君が本当にヤバい時、君の中の真白ウイルスが必ずまた発動すると思う。
何がトリガーになるかわからないけどね?」
弘:「うん……」
GM:「そうそう。一つ提案があるんだ。どうだい?私の助手をしないかね?」
弘:「この人の助手……かなり大変そうだわ(笑)」
GM:「スリリングだけど楽しいよ♪」
弘:「……誰得?」
一同:(笑)
弘:「うん、じゃあ……わかりました。やりましょう。はい」笑顔。
真白が見下ろすと地上では弘がいた。
今日も金沢教授に振り回されたり、北斗のお見舞いにいっていた。
今の自分は情報から生まれた生命なのかも知れない。
今日も真白は世界を漂いながら、小さな奇跡を振り撒いていた。
温もりや優しさはこの世界に満ちている。
そして地上の声に耳を傾ける。
人々の願いを聞こう。
嘆きに耳を貸し――
苦難に挑む力になろう――
それは不意に現れては、やがて消えてなくなる奇跡そのものだった。
GM:というわけで、コギトだ。
大地はバッターボックスで構えた。
それを見下ろす土手の上に弘と車椅子の北斗の姿があった。
北斗は命こそ取り止めたものの、障害が残った。
北斗は歩けない。
北斗はしゃべれない。
北斗は上手く考えられない。
手や足も上手くは動かせない。
でも表情は穏やかで、美しく、幸せや不幸はわかるみたいだった。
弘や大地もわかっているみたいだった。
意志疎通は難しい。
とにかくもどかしい。
北斗が何を考えているか、よくわからないのだ。
もしかしたら情報物質を出しているかもしれないけど、それはもうコギトじゃないとわからないのだ。
GM:いないんだね。
コギト:いないのか……。
弘:いなくなっちゃたんだ。
GM:ともかく、金沢教授の機械ではまだわからない。ただ博士は何か出ているかもと適当なことをいう。
でも、バックトラックに成功している場合!少し続くんだよ。
でもコギトは見ていた。
今は眠りにつくようなおぼろげな意識の中だったが、北斗は泡のような物質を出していた。
これを気持ちというんだろう。
大地はバットを構える。
北斗は大地がバットを持ってるのもわからない。
ただこの場所に来ると大地を探している。
大地に頑張れという意味の泡の欠片を出す。
もしコギトに前のような力があれば、助けてあげられる。でも今は祈るだけだ。
大地は打つ。
二塁間を抜ける。久しぶりの活躍だ。
夕焼け――
弘と北斗は、大地を加えて帰り道。
GM:「よう。活躍した」と大地。
弘:「おお。見てた」
GM:「今日は唐揚げだ。揚げろよ」
弘:え、誰が?(笑)
GM:「揚げるんだよぉ!決まりなんだよウチの」
コギト:(笑)
弘:「か、唐揚げは家で揚げるって誰が決めた」
GM:「姉ちゃん。ねぇ〜」と大地は言うが、北斗はまったく……その、笑顔だけど表情が、わかってない。
意思疎通ができてないみたいだ。
大地は今日の活躍を話す。嬉しそうに話す大地は、時折泣きそうになる。
今は北斗は相槌一つ打てない。
わかっていないのだ。
大地の情報物質が北斗に当たる。
穴だらけの北斗には意味がわからない。
コギトは思い出した。
前にもこんなことがあった。
GM:最後の判定。〈RC〉判定だ。
コギト:最後になるのか……。これって戻ってきた後で判定するのか?
GM:戻ってくる前で判定しよう。最後のやつだね。
コギト:ここで《狂戦士》というのもあんまりだな。
コギト:よっと。(コロコロ)よしっ……10だ。
GM:十分だよ。それなら。
ちょっと組み換えてみると北斗の中のあの日の思い
出とぴったり収まった。
「凄いね。」
北斗の口から言葉が漏れる。
――そして思う
(大地は私のヒーローだよ)
大地は目を真ん丸にあけ、グズリながら抱きついた。
もしかしたら、今のピースが挟まって、穴がまた少し塞がったのかも知れない。
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