Opening phase
【〜馬術観覧会〜】
GM:では、まずこの物語は、ドラゴスの過去から始まります。
ドラゴス:はい。
レルムの兵は、進軍し、騎士達と交戦。
各地で怒号と喧騒が響き、武器が打ち合わされている。
雨と落雷の中、振り下ろされた剣が火花を散らす。
落雷が二人の顔を照らし出す。
ドラゴスとイヴァン。
二人は鍔迫り合い、そして弾いては間合いを取る。
ドラゴス:なんで俺戦っているの!?
シリル:イヴァン王と対峙!?
ロバート:ドラゴス影武者だよね??
GM:何故こうなったのか、というところを物語でやっていこう。
ドラゴス:何故こんなことになった…
ロバート:「国をよこせ!!」
ドラゴス:馬鹿じゃないの!?
イヴァン王と初めて出会ったのは、馬術観覧会の時であった。
GM:当時、バルチモアで行われていた馬術大会には多くの人々がその名を馳せようと訪れていた。
ドラゴス:貴族の三男坊っちゃあ微妙な立場での出馬だね。
GM:そりゃそうだ。これは貴族の御曹司の晴れ舞台だ。
貴族の御曹司が、良質な馬にのり、そして当然のように勝利する。
馬を掛け比べても、そして剣を打ち合わせても勝利は約束されていた。
シリル:完全な出来レースだ。
GM:しかし、君の立場はそれを遥かに下回る。予想以上に。君は騎乗すら許されず。馬の手綱を引く従者なのだ。
ドラゴス:仕官できただけでマシだ!!
GM:当時の自分はバルチモアの地方貴族アンドレアル卿の子息に仕えていた。太っちょで、メタボ体格、そして臆病で卑屈な青年で、誰も期待していなかった。親ですら。当時、自分も期待していなかった。
ドラゴス:ヤベェ
GM:眉をしかめ不機嫌な形相に映りかねない有様でイヴァンは競技場を睨みつけている。バルチモア国王は知ってか知らずか、上機嫌だった。バルチモア貴族の見事な馬術を見て、上機嫌である。「ほほ!!またバルチモア貴族がやったぞ。またバルチモアだ!!」
シリル:子供みたいにはしゃぎやがって(ボソッ)。
爆笑!
GM:「やはりバルチモア貴族はこうでなくては」という光景で、イヴァン王に伴われシリルもここに来ていた。
シリル:レルムの騎士達も参加する予定なのですね。
GM:そう、弓馬に長けた者はいるものの、礼儀を心得たものはほとんどおらず、恥を欠いているという有様だ。
シリル:そうでしょうね。他のレルム貴族達は?
GM:レルムで礼儀作法を心得ているのは都のわずかな一部だ。そのほとんどが本家バルチモアの前では緊張で失神寸前という有様だ。
シリル:代りに参加とかもできる?
GM:できるよ。でもシリルの名は諸国に轟いているから、シリルが参加すればウラヌス王が不機嫌になる。
ドラゴス:奴の兜をかぶるんだよ。仮面の騎士。
シリル:いや、ウラヌス王の機嫌を損ねるようなことはやめます。
GM:というわけで、イヴァン王は非常に不機嫌になり、ウラヌス王は大変に上機嫌になった。
シリル:うむ。
GM:ということでいよいよドラゴスの主人アンドレアルの番だ。というわけで従者話術。
ドラゴス:よーし!!話術(コロコロ)13。「アンドレアル様のおなーりー!!」
GM:成功だ。
ドラゴス:「その名も高き騎士の中の騎士。ここにおわす方こそバルチモアを体現した栄光あるアンドレアル卿!!その人です!!」
GM:その瞬間駆け出したアンドレアル卿は落馬。
ドラゴス:ああ!!→
GM:馬に引き摺られて泣き出し、周囲から馬が止められ、鐙から足を外してあげるという体たらくである。
ロバート(衛士):「あの馬を殺せ!!」
ドラゴス:走って追いかけます。
GM:「こんなことは初めからやりたくなかったんだ〜家に帰る」
ドラゴス:しかたない。こんなメタボ体格じゃ普段から馬にものってなかったんでしょう。はじめから無理だったんですよ。「帰りましょう…」
GM:ウラヌスは取り繕う。「辺境貴族じゃ、バルチモアにも色々いる。」
ドラゴス:ところでこの馬術競技はバルチモアとアドホックレルムの何か代理戦争のようなものなの?
GM:とでは少し背景について説明しよう。
アドホックレルムの一部と国境を接するその領地は、近年治安が荒れ、山賊は横行。両国間の間の問題になっている。放置しておけば混沌とした空気は邪なる物・魔物を呼び起こす恐れすらある。
シリル:なるほど。
GM:そこで二人の王の会話だ。イヴァンの話。「しかし、ウラヌス国王。この地は領主が代わる代わる交代し、治安も乱れている。世の乱れは混沌を招く、まずは安堵すべきではありませんか。」
シリル:魔物も現れるんですか?
GM:対するウラヌス王「ああ、わかっておる。この地の賊徒の共同討伐の話しじゃったな。だからこそ呼んだのだ。どうだ。治安が悪いか?悪くなかろう。」
GM:その時、会場の席を叩き壊し、もんどりうってトロルが飛び出す。
ドラゴス:あああ!!
ロバート:貴族の御曹司達は
GM:自慢の馬術で一斉に逃げていく。
爆笑!
ロバート:一番早い子一等賞(笑)
シリル:なんという無駄な馬術(笑)
GM:トロルは棍棒を振り回し、静止しようとしたメイジを粉砕。爆発四散させる。会場は大パニック。
ドラゴス:「アンドレアル様、お逃げ下さい!!」
GM:なんということだろう、恐怖に狼狽しているアンドレアルは、逃げ遅れた老紳士を自分の馬に乗せる。
シリル:なんだって!!
ドラゴス:まともじゃないか!!
GM:「ドラゴスよ。この紳士を安全な場所に!!」
シリル:カッコイイ!!
ドラゴス:「アンドレアル様は!?」
GM:アンドレアルはレイピアを抜いて、震える手でトロルに構えた。「うおおお!!」
ドラゴス:「主君一人を逃がしてどうして従者が名乗れますか。私も一緒に戦います」とトロルに向かって剣を構える。
シリル:私もイヴァン王に一礼。トロル相手に武器を抜きます。部隊はつれていていいですか?
GM:勿論。先ほどまで散々笑いものにされていたレルムの戦士達はシリルの元に終結していく。イヴァン王も兵士が捨てた武器を手に取り、トロルへと応戦に向かう。
1ターン目
行動値12 ドラゴス
行動値10 トロル3体
行動値3 シリル
ドラゴス:マイナーアクションで急所攻撃を宣言します。急所攻撃を宣言すると命中が上がるんだよね。攻撃する(コロコロ)命中26。
GM:トロルは鈍重な動きだ。回避できない。命中しました。
ドラゴス:ダメージは76点。
GM:28点防いで…48点通りました。でもトロルはターンエンド時に50点回復するというモンスター。
ドラゴス:これ全快じゃん。
ロバート:モンスター強ぇええ!!
GM:次はトロルの攻撃。トロルはアンドレアルを狙う。なんとなくトロルなりに直感的に指導者がアンドレアルだとわかっているような…
シリル:冴えてるな(笑)
ドラゴス:笑い事じゃないし「アンドレアル様!逃げて!」
GM:でもアンドレアルは逃げないんだな…恐怖に竦む体で果敢にトロルに立ち向かう。人々を逃がさなくては。
ドラゴス:そんな馬鹿な!
GM:トロルの棍棒。アンドレアルは殴られる。バシャ!!
ドラゴス:ヤメロー!ちょっ!!まって!!カバーリング。身代わりしたい。
GM:君はカバーリング用のスキルはもっていないよね。行動しなければ、身代わりは宣言できるんだけど、君は行動してしまっている(ニヤリ)
ドラゴス:罠だ!!
シリル:GMの巧妙な罠です!!
ロバート:なるほど、そう考えると庇護の印(カバーリングスキル)って強いな。そのタイミングで宣言できる。
ドラゴス:「アンドレアル様ぁあああ!!」
GM:敵の攻撃です。トロルが2体シリルに攻撃(コロコロ)命中22。24。
シリル:回避はしません。ガードだけ宣言。
GM:衝撃属性攻撃75.77点と2回来ます。
シリル:72点はガードで防ぎます。その後は防具で防げますね。チーン。無傷です。100体来ても怖くない。
ドラゴス:何コレ!!
シリル:部隊特化型なんですよ。皆さんは部隊無いですから、これは仕方無い差です。
シリル:命中(コロコロ)41範囲攻撃します。全員入りますね。ダメージは192点。
GM:トロル2体を纏めて撃破します。本当はそれは全体攻撃なんで、ドラゴスも巻き込まれるんですが……
ドラゴス:え
GM:今回はイヴァンが庇護の印。カバーリングしますので、ドラゴスはダメージを受けなくて構いません。
イヴァンが槍で横たわるトロルに止めを刺す。
レルムの戦士達は皆勇敢な戦い、
バルチモアの貴族は君達を覗いて皆逃げ出していた。
GM:アンドレアル卿はトロルの棍棒が命中し即死だ。
シリル:なんと!!無情!
ドラゴス:無情じゃねぇ!!
爆笑!
ドラゴス:どうすればいいんだろう…どうしようもないじゃないか…アンドレアル様をつれてかえるしかない・・・。とぼとぼと…。
GM:老紳士達は涙を流し、感謝の言葉を送る。
シリル:私も礼儀を振りましょう。「素晴らしい方でした。」
ドラゴス:この人は、凄い人だったんじゃないのか…?一番傍にいながら、そんなことも知らなかったなんて。従者として情けねぇ…。
GM:ドラゴスに向き直るイヴァン。「彼は見事な騎士だった。」
ドラゴス:「……ありがとうございます。」
GM:「その名は誉れとして語り継がれるだろう。」
ドラゴス:「その言葉に主人も報われます。」
GM:ウラヌス国王は動揺し、声をかけられない。申し訳無さそうに何度も眼を背ける。
ロバート:この人さぁ…
ドラゴス:従者の立場だとウラヌス国王に詰めかかるわけにもいかないけど…
GM:「ウラヌス王。お言葉を」「イヴァン王…逃げたものには名家の子息も多い、ここで……言葉をかけることは。」
一同:うおおおい!!
ドラゴス:この野郎!!
GM:「ウラヌス王。」
シリル:まぁ、そういうものなんですよ。宮廷儀礼とか、政治とか、そういうものなんですよねー。
GM:ウラヌス王は苦しみながら呟く。「ことは難解だ。それほど簡単なことではないのだ。」悲しそうな顔をしながら地面を凝視している。
ドラゴス:ウラヌス国王はいい人なのか、悪い人なのかわからないよ!!
GM:イヴァンが言う。「いいや。簡単なことだ」
一同:……
GM:ウラヌスはその視線を受けると、意を決した。「アンドレアル卿は見事な騎士だった。」
ドラゴス:「ありがとうございます。」
GM:「ここにそれを称し、その勇気を讃える。」そして馬術勝者に送られる勲章を彼の亡骸につける。
ドラゴス:周りの貴族の様子は?
シリル:ブーブー
ロバート(御曹司):「馬術と関係ないじゃないか!!」
爆笑!
ドラゴス:うるさい黙れ!!(笑)
ロバート(御曹司):「一番遠くまで逃げたものが、馬術においては優れているということではありませんか!!」
大爆笑!
ドラゴス:プ…ププ。この御曹司たち…(爆笑)
シリル:私はここまで、彼らを嫌悪したことはありませんでした(笑)。
GM:「お前は?」イヴァンはドラゴスの名を尋ねる。
ドラゴス:「僕はただ一介の従者です。僕がこれ以上、名誉を受ければバルチモア王国の人々に疎まれて、国を荒らすことになってしまいます。僕は…ただの従者です。」
GM:「…なんだと?」
爆笑!
GM:「お前は名誉の意味を理解していない。」
ドラゴス:「そうでしょうか」
GM:「人々の命を救い、魔物に立ち向かった事実にこそ栄誉がある。我先にと馬を飛ばして逃げた連中に気を使うことなどない。お前が今、名誉を受け取らぬことは、主人を守ることではなく、逃げた御曹司たちの名誉を守るというだけだ。」
ドラゴス:「わかりました。」
GM:「従者なら主人の受けるべき名誉を守れ。」
ドラゴス:「はい、では一言だけお許し下さい。」じゃウラヌス国王に。「ウラヌス国王…」
GM:「おお、従者よ。わかっておる。アンドレアル卿の名と行いは我名誉にかけて守ろう。」
ドラゴス:「いえ……この領土は危険です。どうかこの領土を安堵し、見せ掛けだけの平和に甘んじぬようお願い致します。」
GM:ぐにゅう。ウラヌスは引きつった表情を浮かべた。
ドラゴス:でも…
GM:「責めないよ」
爆笑!
GM:イヴァンはしてやったりと笑うと、「一本取ったな。見事だぞ。」そして向き合う。イヴァンは剣を抜き、儀礼的に構え、ドラゴスの両肩に剣を当て言葉を与える。「弱き者の為に立ち、戦うものをナイトというのだ。」
一同:おお!!
シリル:カッコイイ!!(騒然)
GM:そして剣を差し出す。カウントを与える。
ドラゴス:カウントですか!!
GM:「お前はこれから困難な道のりを歩くだろう。その背中を押したのは俺だ。お前が茨の道を切り開けるよう剣を与えよう。」
ドラゴス:ロードにクラスチェンジした、みたいな。こうしてロードになったのか。じゃあ、これがボーナスなんだ。
GM:あの日から、自分は一振りの剣を共にする旅が始まった。バルチモアでの出世はこれで閉ざされた。
ドラゴス:カウントはある。
GM:土地がない。
ドラゴス:珍しい状態。バルチモアでの出世はありえないだろうな。アンドレアル領には、
GM:戻れないね。怒られて追い出された。従者が主人を守れなかったのは事実だ。
ドラゴス:果たして誇らしい人間になれているだろうか。
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