Ending phase
【死と創世のバルチモア】
GM:ではエンディングフェイズに入ります。
一同:はい。
ジィク:やはりPCは一人死んでしまった。
フィンチ:先導者にはたどり着けなかった。やっぱりアナハイムにたどり着けなかったからかな。でもなんか関係が無いような気がする。
GM:では回答に入ろう。アナハイムが先導者だと思っているようだね。それは違う。
フィンチ:えぇ!!?違うの?
GM:アナハイムはまさにメイジだ。彼は主人の要望を叶えるためにあらゆる方法を献策する。でも彼は自分の動機では動かないんだ。
ネフィリア:そういえば、バルチモアでも国のためでした。
ジィク:確かにユニオンでは黒幕アスラハンに仕えていたようだったな。
フィンチ:じゃあ誰が?
バルチモアの滅亡。その事の発端はインダストリアのウイリアムという男にあった。
一同:ええ!
彼が領主の時代に困窮極めるバルチモアへの援助を決めたのは、広く人の知ることであるが、その胸中を知るものは少ない。
バルチモアにもたらされた援助は、物資だけに留まらず、人的、教育的援助も行われた。
衣食足りて礼節を知るの例えの通り、国民による無能な政治への反発は、王家への批判を呼んだ。
そしてそれは反動的にロアンによる大弾圧へと発展した。
ネフィリア:あぁあああわかった。今全部わかった!
フィンチ:何!?説明して!
ネフィリア:国民を先導して反乱を起こさせていたんだ!
フィンチ:え、ああぁ、そんな!
ジィク:くそ、そうか。国民がこの体制はおかしいと不満を感じていけば、やがて不満は爆発する。ヒルダも俺もそれに利用されていたんだ。フィンチやヒルダに同調すればそれは反乱もおきる。
GM:これはウイリアムが仕組んだ、バルチモアの民と王族との争いなのである。
バルチモアで国民の反乱がおこったのは実に景気のいいことだった。
ウイリアムは窓の外に広がる町並みを見ては、はるか遠くのバルチモアに思いを馳せる。
フランス革命でも市民による貴族虐殺は起きた。
「そのぐらいは仕方あるまい。」
「行かれないのですか」と召使がそばで控えてウイリアムを伺う。
「いや、ここからでも見えるよ。バルチモアの滅亡がね。」
フィンチ:「あぁぁぁ・・・あ、あ。」僕は先導者にたどり着けなかった。アナハイムが悪だと思っていた。アナハイムが人々を操って、戦争を起こさせようとしているんだと……でも違った。
ネフィリア:これはぁ、そんなぁ、バルチモアがなくなってしまう。
GM:「今頃貴族達が市民に虐殺されている頃だろう。そんな血なまぐさいところには足を運びたくないのでね」とウイリアムをその惨状に思いを馳せては「おお、怖い怖い」と肩をすくめる。
フィンチ:そんな、民主制がくれば世界は平和になると思っていたのに。思っていたのに。
市民の怒りは頂点に達していた。鍬や鋤、手製の武器を手に、各地で上がるのは反撃の烽火。それはバルチモアの終焉を意味していた。
その災禍を逃れ、一同は王城より離れた市井の館の一つにあった。傷ついたフィンチを手当てするネフィリアの横顔。その憂い。
GM:キズついたフィンチを治療していた部屋というシーンだ。
ネフィリア:私は、王はずっと民に慕われているものだと、慕われないとならないものだと思っていた。でも……
GM:そしてフィンチは気がつく。外の物々しい喧騒。そして、その意味を知る。
フィンチ:えぇ……そんな、これが民の願い……。
GM:その窓の外に立ち上る煙が、血生臭い喧騒を物語る。市民の貴族殺害は留まることを知らない。
フィンチ:「みんなみんな誰かのせいにしてきて!自分では何も……責任を取らないじゃ……」あぁ、そうか、レグルスは、汚れても国を守っていたんだ……。僕は何も知らないで。うわぁああ。
GM:バルチモアの全ての常識が書き換わっていった。
ネフィリア:王のいない時代が来るなんて考えてもいなかった。私は、私はバルチモアにいらない人間になってしまった。「一つの時代が終わったというの……」
フィンチ:あぁああ。ダメじゃん。もう駄目。終わりだぁあ。
ネフィリア:「窓から見えます。バルチモアの夕焼け。落日が。」
抑圧された人々は、声を大にして叫びたかったのだ。
何を言うかは問題じゃない。
大きな声で、この抑圧された世界に叫びたかった。
そして彼女はその叫びそのものだった。
ヒルダは手をかざした。
その手に導かれるように人々は王城になだれ込んだ。
ジィクがハバリクがその傍らで彼らを指揮していた。
バルチモアの歴史は搾取の歴史、その歴史を市民が踏み砕いていた。
人々の反撃の拳が、ついにこの古い伝統の王国を砕いた。
だというのに、振り返ったヒルダの瞳に移ったのは燃え上がる町並み。
光が濃いほど影もまた濃いという。
ならばこそわかるというものだ。
彼女の知らぬところで、数々の貴族の館が焼かれ
貴族達が市民の手でリンチの末命を落としていたことを。
流される血を見て、彼女はこれを素直に受け取ることができない。
「誰かの流した血によってしか、道は作れないというのですか?
母上。」
その傍らのにあったジィクもまた、不安を抱えていた。
それは彼女と同様の不安ではなかったのかもしれない。
彼らの運命を巻き込む奔流は、二人の運命を否応に流していく。
そんな予感がした。
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