Climax phase 

          

【愛と因縁の終わりに〜】


彼女の現在の場所は南方の別荘の一つであった。付近の街道で刺された彼女はもはや動かせるような容態ではなく、この混乱を極める北部にひっそりと非難させるしかなかった。


イヴァン:イシュカに連絡をとっておこう。(「イシュカ。都を引き払いこの場所まで移動してくれ。」)

GM:(「OK。そちらの状況は」)

イヴァン:(「サラミスの軍は撃破したが、おそらくお前の考えていない方向に話は進んでいる。俺はもしかしたらピンチかもしれない。助けが必要だ。」)


森林の中にある別荘には、サラミスの私兵と思われる警備が彼女を守っていた。兵士は武装したイヴァンを見て大騒ぎとなる。


イヴァン:「通してもらうぞ」と押し入り……

GM:「通せ!!」とサラミスが一括すると、兵士は道を明ける。


エルフィーナは血の気の引いた蒼白の顔でベッドに伏していた。彼女の命が尽きようとしているのは、誰の目からしても明らかだった。


イヴァン:「……エルフィーナ!」

GM:ほとんど目も開けぬ彼女の傍らにはその子供が控えていた。子は振り返り「父様」とサラミスに嘆きの言葉を投げかける。

イヴァン:俺はエルフィーナの手を取り「エルフィーナ。俺だ。来たぞ。」

GM:彼女はうっすらと目を開ける。

イヴァン:「サラミスも一緒だ。」

GM:サラミスもまたエルフィーナの傍らに寄り添い、手を取る。エルフィーナの視線が二人を捕らえる。「イヴァン。サラミス。」と二人の姿、信じられない光景に驚きの表情を浮かべる。

イヴァン:「君が心配で戦どころではなかった。」

GM:「そうだ。ああ、そうだ」とサラミスも頷く。


イヴァン:「お前のお陰で俺たちは手を取り合うことができた」

GM:エルフィーナは震える声で呟く「私が生きているうちに……こんな光景が見られるなんて。」サラミスはなんとか元気付けようと言葉をつむぐ「そんな弱気なことを言うな。」

イヴァン:「……」

GM:「ありがとう」

イヴァン:「俺も感謝している。エルフィーナ。何か俺に願いはあるか?」

GM:彼女は言葉を返さない。彼女の望むことは全てかなっているのだから。

イヴァン:「…欲のないヤツだ。お前はそういう奴だ。」

GM:「……なんだか、あの時みたい。昔、先王様がいた時みたいに」


あの時二人の意見は、まったく合わず喧々諤々ではあったが、王の下力を合わせていた。エルフィーナとの出会いも、そんな時であった。


GM:「お願い……しばらく…ここにいて…最期まで……」

イヴァン:「ああ。傍にいるよ。」






安堵した彼女は笑顔のまま瞳を閉じる。その安堵で全ての力を失ってしまったかのように…


GM:サラミスは声をかけ揺さぶる。「エルフィーナ。おい!!エルフィーナ!!」

イヴァン:「……」

GM:子供が叫び駆け寄る。「母様」

イヴァン:…その子を招きいれ、彼女の手を握らせてやろう。


イシュカが到着したのは夜半過ぎだったが、彼女が到着した時は全てが終わったときだった。彼女自身エルフィーナの死は衝撃であったが、その場に居合わせた人々にも驚きは隠せなかった。


イヴァン:俺は外で腕を組んでいよう。

GM:「何かあったみたいだな・・・」イシュカは声をかけにくそうに目線を逸らす。イヴァンの様子は普段とは違うものでもあったのを彼女は敏感に感じ取っているみたいだ。


イヴァン:サラミスにも話をしなければならない。「サラミス。」声をかけよう。

GM:「……なんだ。」エルフィーナの隣から立ち上がり、我が子を残して出てくるサラミス。

イヴァン:「こんな時に言うべきではないのかもしれんが…俺はお前を討たなくてはならん。」

GM:サラミスからすれば驚くような内容ではない。イヴァンを見つめる。「……それが筋というものだ。」

イヴァン:「俺はこの事件を王国との戦いではなく、できることならば俺とお前の私闘という形で終わらせたい。お前を排斥したことで、この戦を区切りとし、王国に対して和平か休戦を願いたい。」

GM:「……なるほど。」

イヴァン:「お前には泥を被ってもらいたい。王国の歴史の中で、個人的な理由で戦争を始め、国家を傾けた悪臣とお前は呼ばれるだろう。」

GM:「お前も私怨で兵を挙げただけの男になる。」

イヴァン:「ああ…事実そうだ。」


GM:「ふ……私に君を従えるだけの度量があれば…もしくは君の下につく心があれば、こうはならなかったのかもしれん。」

イヴァン:「お前はエルフィーナの夫だ。俺の全てを奪った男を俺は許したりしないさ。」

GM:サラミスとイヴァン。並んで外に目線を送る。

イヴァン:と腕を組んで。「今日は嫌に素直だな。いつも、そうだったら助かったんだが。」

GM:「フフ。このまま助けてくれと泣き喚くのを期待しているのか?ならば残念だったな。」頭を振る「それなら初めから、このような戦になっていない。」

イヴァン:「サラミス。代わりに誓う。あの子は俺が育てていこう。」

GM:「そうだな。悪逆の宰相の息子では、この王国では生きていけない。」

イヴァン:「本当はお前に汚名を着せたくは無かった……だが、今なら聞いてくれるのでは、とな。ずるいか?」

GM:「最後に妻に会わせてくれたな。だから、今だけだ。」

イヴァン:「今だけ……俺たちは上手くいってるわけだな」



GM:「さて何をすればいい。感傷的になると気が鈍る」と向き直る。

イヴァン:「そうだな。署名しろ。お前がやってきたことを個人の裁量であり、国権の侵害であったことを証言しろ。」と公式文書のためのスクロールを手渡そう。「もしかしたら、これには意味等ないかもしれん。名を穢すだけ、自己満足になることもある。しかし、王国の戦争を止められる唯一のものになるかもしれん。」

GM:「よかろう。好きに使え。」

イヴァン:「イシュカよ。」と呼び寄せよう。


GM:その姿が訪れるとサラミスの表情が険しくなる。「お前は…」自分が切り捨てたかつての愛人との再会だ。

イヴァン:「彼女はエルフィーナの治療をしてくれていた。」

GM:「何……」驚き、そしてイシュカを見据える。「ほう。」以前の彼女なら考えられない。そして顔につけられた傷が消えていることの意味を彼は理解した。

イヴァン:「イシュカ。お前の仕事だ。文章策定の後、サラミスを討て。」

GM:イシュカ自身、その言葉に動揺する。「なるほどな…なるほど。」

イヴァン:「イシュカ。どんな感情が、今、お前の中にあるかは知らん。だが、お前はどんな裁定でも承諾し、それを行う。約束しただろう。わかるな。」

GM:「ああ。でも…こんな終わりは…、正直想像していなかった」そしてサラミスと向き直る。

イヴァン:「俺は部屋を出ている……」

GM:「失敗は許されんし、命令には従う、そしてこれは…私の仕事だ。」


イヴァン:俺はエルフィーナの子の手を掴み連れ出そう。

GM:はじめ、その子はそれが何が起こるかわからぬまま、不安で連れ出された。しかし、次第に父サラミスとの別れになることを察すると抵抗を見せる。

イヴァン:この子は無理やりつれていく。訳がわからぬままにな。


GM:サラミスは最後にイヴァンに振り返る。そして笑みを浮かべる。「正直お前がいなければ上手くいっていたはずだ。我が生涯のライバルよ」

イヴァン:「俺の台詞だ。お前は俺の全てを奪った。」


GM:「……さらばだ。」

イヴァン:「さらばだ。」俺もサラミスに挨拶を返す。





サラミスの死。
この日、イヴァンの人生を左右した二人の人物が命を落とした。
それはイヴァンの人生の若き日の青春の全てだったといってもいいだろう。



(今思えば、王国への拘りは、まさにエルフィーナへの拘りだった。
その彼女がいなくなり、俺は守るべき王国を失ったような気がする。
俺が忠誠を尽くし、そして失望を抱いた先王もなく
俺としのぎを削った宿敵も、もういない。)


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