Ending phase 

          

【北方の勇者……】


アドホック・レルムのイヴァンの騎士団は野営地で待機していた。
信頼はしている。しかしその無謀な試みが成功したか、案ずる気持ちで待ち続けていた。
「戻りました!」
見張りの言葉とともに兵に安堵が戻る。



GM:昨日の夜の可愛らしい姿とは違う毅然とした女王フラガッハは、君の隣で悠々と歩いていた。その足元には緑の草木が生まれつつある。討伐を宣言。もう「偉大なる猫は死んだ!」とか言いたい。

イヴァン:馬鹿者だよね(笑)

爆笑!

GM:そして足を止めて向き合う。「初めの話だ。土地を欲しいといっていたな。」フラガッハは腕を組む。

イヴァン:「土地はお前のものだ。父からお前に渡されたのを見た。」

GM:「いいのか?」

イヴァン:「父の意向は無碍にできん。だがカウントは貰う。」

GM:「いいだろう。他にあるか?」

イヴァン:「友好的な関係を持ちたい。」俺も腕を組んで小娘を見下ろす。

GM:「友好的?どんな」やはり胸を付き合わせる。

イヴァン:「文句があれば俺に言いに来い。くだらん駆け引きはいらん。」

GM:「はっ!いいな!」と顔色を輝かせる。「それは友好的だ♪」

イヴァン:ニッと笑う。


GM:「昔…都からやってきた王国の連中は友好的という言葉を用いて貢物を要求した。わけがわからん?」

イヴァン:「ほう。正気を疑うな。彼らの望む贅沢品な趣向品がここで手に入るとは思えん。」

GM:「まったく。でも、なんかそういう話だ。」とよくわからない顔をした。「人を連れていかれたこともある。帰ってこない。魔境というからには、住まう魔物に食われてしまったかな。」

イヴァン:昨晩の話か。

GM:不可解。それ以上の憤懣が彼女の中にあるように、フラガッハは深刻な顔をした。

イヴァン:「あの魔境は俺が切り開く。」


意味するのは、途方も無い言葉だった。普通であれば夢は大きく、などと笑って流すものだったが、フラガッハにはそれが妄言とは思えなかった。


GM:「ふん。」鼻で笑う。そして何か言おうと逡巡して、言葉を選ぶ。「時々、お前のところに……顔を……出しに参るかもしれん。」

イヴァン:「ああ。待ってる。」

GM:「………魔境の呪いが……解けない…限り。」と昨晩の事を思い出し、目を閉じて眉をしかめ、赤面する。

イヴァン:そうとうお熱だぞ。俺も腕を組んだまま、うむむと。





GM:赤面する二人。その二人を前に一礼するジェミニ。「では私は失礼します。」

イヴァン:「いい助けになった。またな。」

GM:そうして一人立ち去っていく。

イヴァン:「あいつ…何者だったのだろうな。」

GM:「気になるか?遍歴の者など、どこにでもいる。私にはとりわけ珍しくも無い。強くないのは珍しいが(笑)」

爆笑!

イヴァン:ロードだったな。<救難の印>……メサイアか。


GM:イヴァンを出迎えるスターシャ。一礼。「おかえりなさいませ。ご無事で。吹雪がやみ、星が見えましたので、吉兆と感じておりました。」

イヴァン:槍を兵士に渡そう。「この連中を纏めるのは骨が折れそうだ。」

GM:「和議は整いましたでしょうか?」

イヴァン:「具体的な取り決めは無いが、今後、領土を侵すことはあるまい。」

GM:その答えはどうにもスターシャにはよくわからない。戦士同士の通じるものがあったと想像するばかりだ。

イヴァン:「できることならば食料の問題は国土を増やすことか、交易で確保したかったが、どうやらどちらもメドが立たないようだ。」

GM:「あの……食料は必要です。」

イヴァン:「ああ。理解してはいる。」

GM:「魔境を切り開いたのですから、それを頂いてしまっては。」

イヴァン:俺は首を振る。「領土を得ても火種を抱えては意味が無い。それに、何より……いや、いい。」

GM:イヴァンの流儀なのだろう。スターシャは多少困った様子だが、それも直に納得する。「カウントで解決しましょう。しばしお待ちを。」


王国の都の王城に、一人の小柄な人影があった。
兵士はその行く手を塞ぐでもなく、その姿の前に敬礼をしていすまいを正した。その光景は国王の間まで繰り返される。

両手が束ねられた髪を解いて広げられ、風に流される。

国王の間にいた、その若き少年王は、物憂げな瞳を輝かし、双子である姉の帰還を喜んだ。「無事で!」そして忽ちに国王の顔となる。
「北方の民は…どうであった?」

俄かに信じがたい謀反の噂。サラミスとイヴァンの確執の中おきた独立。アドホックレルムの名。そして指輪。
国王はその判断を迷っていた。

彼女は瞳を閉じ、その事件に思いを馳せる。
そして只一つ、正しいことだけを口にした。
「攻めてくるわ。」
少年王の表情には悲嘆がある。「それは何故?」
避けられることではないのか。

同じ顔の少女は、その回答に困る。怒りや憎しみ、因縁、それ以上に彼女は彼らとの違いを痛感していた。言葉に表せぬその気持ちに、唯一答えられたのは、これだけだった。
「それは……そういうものなのだから。」


少年王は押し黙った。
和睦の道は閉ざされたのだろう。そもそも、そのようなもの、国内世論が許すだろうか。宰相のサラミスはイヴァンと決別している。

そして、それはこれから始まる戦への不安となった。
はたして自分は勝てるだろうか。
王国の軍勢は数も多く忠節だ。
イヴァンの軍勢と立ち向かえる騎士団は国内にも存在する。
しかし、イヴァンの戦歴は彼が英雄だったことを意味している。

「大丈夫。……あなたは、私が守るから……」
そう少女は呟いた。







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