幻想戦記ストーリー紹介

「第一章〜ディノギノス帝国」

大陸には一つの大帝国が存在した。名をディノギノスという。竜の名前を冠する帝国は、奴隷出身の国王ゼファーに建国をされるという異例の幕開けをあけた。皇帝ゼファーは異民族との戦いを繰り返し、永く祖国を空けると、祖国には謀反の目が芽吹き始める。皇兄が、公爵が、教会が、権力者たちは皇帝がいないことをいいことに、国内で不穏な動きを始める。
皇帝の息子・ロアンは皇帝の非常時に国内を纏めるべく、次期継承者である自分の後任を教会に依頼するが、ロアンは己すら知らぬ特殊な出生のため、教会の後任を拒否される。これによって大陸の動乱が始まることとなる。
反乱を起こし離反を繰り返す諸国。追い詰められたロアン王子に残されたのは軍事力だけであった。ロアン王は暗黒騎士団を派遣。諸国へと圧制をしいていくこととなる。


「二人の騎士」

辺境の属国の一つオードリュークに若き2人の騎士がいた。辺境ゆえに平民出でありながら騎士となった者たちである。
一人はグラーフ。幼いときより奴隷同然の生活を強いられ、中央よりここへ流れてきた少年である。彼は自分を導く不死の騎士クロムハーツとの出会いによって圧制に立ち向かう正義を掲げる騎士道を学び、歩んでいくこととなる。
一人はレオン。異民族の襲来に立ち向かった漁師の息子であり、暗黒騎士との出会いにより、忠義と正道・国家に殉じる騎士としての正義を掲げる騎士道を学び、歩んでいくこととなる。

国内が乱れる中、圧制に虐げられた民を引き連れ立ち上がった男がいた。当時少年であった彼の名をグラーフ。後のアレキサンドリア・建国王である。
グラーフは乱れた国の圧制に敢然と立ち向かい、強大な帝国に反旗を翻した。そのグラーフと帝国を取り持ったのは、天使でありながら教会の派閥にあり領主を兼任するベルサリウスであった。ベルサリウスは騎士レンブラントを送り、レンブラントはグラーフを多くの領主に結び合わせ、度々暴走しかねる民衆をなだめつつグラーフの片腕として尽力する。

 民衆の指導者グラーフは、騎士レンブラント達の勧めもあり、遠征中の皇帝ゼファーの帰還を求めるために海を渡る。
 この時、戦場に取り残された皇帝を救出しに現れたのもう一人の人物がいた。彼女の名前はブリジット・バルドー。隻眼の女貴族として知られる彼女は、グラーフ等と協力すると、包囲された敵の軍勢から皇帝を救出し、敵の中核を破る活躍を見せる。
 皇帝帰還の叶うと思われた一同であったが、戦のキズが悪化した皇帝ゼファーは国へ心を馳せながら戦場で崩御する。ゼファーは最後に王冠をグラーフと騎士達に託すこととなるのだが、これが後の大戦への火種となるのである。

 ゼファーの死を知る息子ロアンは自分こそが皇帝と即位を宣言。周囲の心の離れたまま、武力によっての帝国再統一を掲げる。その強引な手法に対し、民衆・そして民衆の指導者グラーフは対立を深めていくこととなる。

民衆の反乱の鎮圧派遣されたのは、帝国の大貴族ルイ・フェロー侯爵であったが、彼はその派遣で、地方への度の過ぎた弾圧を目の当たりにし、考え方を改める。彼は民意を汲み取ると、罪を問われていた者達を開放、自らも新皇帝ロアンに奏上文をしたためる。それがロアンの怒りに触れる。
ロアンはルイ・フェロー侯爵の処刑を決定、周囲の反対を押し切りそれを強引に決行しようとする。それに対して民衆の怒りも爆発、また貴族諸侯の反乱も始まり、ルイ・フェロー侯爵はグラーフによって救出される。以後グラーフはルイ・フェローという頼もしき仲間を得ることとなる。

「再会」

皇帝ロアンはこれに対してついに懐刀・暗黒騎士団の派遣を決定、帝国を二分する激戦がここにはじまる。
民衆とともに戦うグラーフの前に現れたのは、暗黒騎士団に入り王の剣となって戦うレオンの姿であった。もはや二人には友情は無く、互いの刃はともに互いの戦友を傷つけることとなる。この戦いは歴史上稀に見る激戦となった。暗黒騎士団の半数が死に、反乱軍も大打撃を受ける。この時グラーフとともに歩んだ盟友レンブラントも命を落としている。




「第2章 〜 ユトランド分国」

ディノギノス帝国と並列するユトランドも今では弱体化。血族分割制により、領地をわけると血族は互いに争いあい、唯一の王座を巡って争いあっていた。大陸中央の要であるその要地を求めて諸国も介入を始めると戦争は激化血みどろの戦いへと変貌していく。

この分国へと介入を目論む各国の一つアバロンでは下級騎士が異例の抜擢を受けてユトランドへと派遣されることとなる。
アバロン騎士グレイである。国内では下級騎士として、本来ならこの重役を担う人物でもない彼は、女王の推薦によって派遣される。
派遣されたグレイであったが、ユトランドはグレイの出生ゆえに冷遇。常に前線に派遣し、捨て駒とし、グレイのみならず同様の扱いを受ける騎士達は不満をつのらせる。

「ネロの台頭」

当時のユトランドは同盟諸国の力を借りつつも、それらの勢力を互いに牽制させ、自治を守るという老練な手腕によって国をまとめていた。誰もがユトランドの王家の血筋を狙い、介入するなかにあっては国内の貴族も心穏やかならず、同盟国との対立も水面下ではおきつつあった。
そんな中、ユトランド北部ウィルミントン領主ネロは台頭していく。
ネロは国の騎士にあって、その手綱を王に渡さぬ傍若無人な貴族であったが、彼には大志があった。渦中のユトランドを離れたネロは一軍を引き連れ北国ヴィンランドに渡ると北国を平定。大国をつくりあげる。その軍事力を元に帰還したネロは、国内で随一の力を持ち始める。

王族にとってネロの存在は脅威であった。
ネロは諸国の騎士と協力・独自の同盟関係を作ると諸国の騎士達への存在感を発揮していく。また進んで対立するユトランド連立諸国への会議を働きかけ、諸国とのバランサーとして活躍する。その中にはアバロン騎士グレイ、民衆の反乱軍グラーフ、ディノギノス帝国暗黒騎士レオンなども含まれた。

「シリウス卿」

連立諸国の一つ、ベルフェンの地方を治めていた老貴族・シリウスは高名な魔法使いであり、国内での権力者であったが、彼には裏の顔がある。
彼は秘密結社を組織し、その教祖として闇の世界に君臨する魔人としての裏の顔をもっていた。
軍事力におとるベルフェンの窮地に指揮権を持ち、諸国の軍勢を滅ぼす彼の名は、いくたの勢力の心の中に恐怖によって刻まれることとなる。
ベルフェンが戦に破れ滅んだ後も、その権威を脅かすことはできず、彼はその後も領地にあってその絶大な権力を振るい続けていく。


「エカテリーナ」

動乱によって権力争いと侵略が繰り返される大陸中央に対し、これを好機と進行するものがいた。ロシアのエカテリーナである。まだ少女でありながら大国を背負う女帝とでもあったエカテリーナはこの期に中央進出を目論む。それに対し当時の6分国は統制が取れず、ディノギノス帝国も王位継承に問題を抱え、内乱に揉まれていた。
侵攻するエカテリーナに対して、諸国は敗戦の一途を辿り、その行く手を阻むものはいないかと思われた。

その時諸国の間の同盟を成立させたのがユトランドのネロであった。
ネロはディノギノス帝国・市民反乱軍・連立諸国連合(有志)・北国・アバロンなどの大連立同盟を組むとこれに対抗する。といってもこの時同盟に参加したものは諸国の中の下級騎士や市民たちの集まりであった。民間人と肩を並べるこの同盟に対して、王侯貴族達は冷ややかであった。
しかし、この同盟は予想以上の戦果を挙げ、ロシアの侵攻を防ぐ。この時、ネロはロシアの女帝エカテリーナとの婚姻を結び、より存在感を強めていく。

ユトランドのみならず分国での地位を確立していくネロであったが、ネロはその年病魔に冒される。34歳の時である。
ユトランド王の命令で病を押し戦地に出たネロであったが、その戦いでネロが帰らぬ人となると、ユトランドの対応は一気に冷淡なものへとなっていった。
ネロの領地は没収。そればかりかつながりのあった貴族や騎士達の風当たりも悪くなり、再び王は手綱を奪い返し始める。




「第3章 〜 3つの大国」

ディノギノスの皇帝ロアンは自分に対し、忠誠心を示さない女貴族ブリジットに対して態度を厳しくしていた。
ロアンはついにブリジット討伐を決めるが、それに対し指揮をとったのは当時の暗黒騎士レオンであった。
レオンはブリジットに対して降伏を勧告するも、ブリジットの出す提案に引かれる。「ロアンを討ち政権を正す」。ブリジットには権力欲・支配欲は無かったが、彼女はほとほと皇帝ロアンの傲慢さに嫌気が差していた。そのロアンに対し、一矢報いることは彼女の矜持であり、それに対してロアンの素行を苦々しく思っていたレオンは同意する。
たった二人だけのクーデターは、ロアン王を捕らえるという劇的な結果に終る。
しかし、ロアンを討つことにレオンは躊躇すると、ブリジットも皇帝を討つことには関心は無く、二人は自分たちへの罪を問わないことを確約させ、破格の地位を得る。
こうして大貴族ブリジットと近衛騎士団長レオンが誕生する。

配下の反乱を許し、大きく権力の低下した皇帝ロアンに対して市民の反乱は国の分裂を招き、グラーフは勢力を大きく広める。もはやグラーフを止めるものはいないと思われた矢先皇帝ロアンに対して強力の手を差し伸べたものがいた。海を渡った先、大国ビザンツの王であるガレオンであった。
ガレオンは先代ゼファー王と戦った宿敵であったが、彼は中央進出を狙い、ロアンへの強力を提案する。配下の騎士すら疑い疑心暗鬼に陥った皇帝は、たやすくその甘言に乗ると、彼等を国内へと導きいれた。

当初反乱軍に対して圧倒的な戦果を上げていたガレオンであったが、ついにその牙を剥くときが来る。
国内での力を失った皇帝ロアンの退位である。ロアンの退位を迫るガレオンに対し、立ち向かったのは、今も尚忠誠を誓う暗黒騎士団長バストールであった。バストールとガレオンとの間で起こった戦いはバストールの勝利に終わり、ガレオンはその戦いで命を落とす。
バストールは国内での強い後押しもあり、そのまま皇帝として即位すると、グラーフとの戦いに乗り出す。

「アレキサンドリアとフランス」

民衆たち・教会・有力諸侯の指示を受けたグラーフは、ついにそれらを束ねると大国アレキサンドリアを建国。民衆出身の国王となる。
グラーフしついに雌雄を決するべくディノギノスへの侵攻を開始、皇帝バストールとの対決に乗り出す。
両者の戦いは永きに渡って続いたが、やがてその戦もバストールの戦死という形で決着がつく。ディノギノスを滅ぼしたと思われたグラーフであったが、その大戦の傷痕か、アレキサンドリアは大きく疲弊すると、国内の復興もままならぬという様相を呈す。一方ディノギノスにおいても権力者後退が行われる。当時の近衛騎士団長レオンが、バストールに続いて帝位を継いだのである。レオンは国名を「フランス」に改めると、傷ついた国内を癒すべく内政へと従事していく。
ガレオン王を失ったビザンツであったが、ビザンツにもあらたな新帝が生まれていた。ガレオンの師であり、闇の派閥の教祖をしていた男シリウスである。ベルフェンの地方領主の仮面を脱ぎ捨てたシリウスは多くの闇の種族を取り込み、国内を強化していく。オークのポルクス将軍、ゴブリンの族長ベクドラン、ダークエルフの長ロゼなど、傘下に納める。
勢力を伸ばす彼等に追い立てられた人々は、グラーフに対して救援を求めるとグラーフは、領地奪還のために再び大戦の幕を開ける。
アレキサンドリア・ディノギノス・ビザンツの三国はその後も度々侵攻し、互いに牽制、戦の火種は尽きることなく続いていくこととなる。

「三人の王子」

アバロン王族のチャールズ、ネロの子供シーザー、シリウスが将来の後継者と定めた魔法使いフォスターの孫アルベルタ、3人の王子がいた。
彼等は諸国を巡っては王との関係を深めていた。アレキサンドリア・ピザンツ・北国など彼等の少年時代は目まぐるしい流転の中にあった。

シーザーが13歳の頃である。この時シーザーは国内を引き継ぐ権利こそ無かったが、既に外交などに従事し国内の人心は掌握していた。そのシーザーが王権を得るために行ったのが、ユトランド制覇である。シーザーは無き父親ネロの復権と、かつての戦争で恩賞を得られなかった騎士達への報酬の獲得のためのユトランド王族との対決を開始する。
ユトランド王女シャルロッテはそれに対して強固に反対し、彼等を弾圧にかかったが、この時今まで恩賞の無かった騎士達は冷ややかであり、王族への救いの手を伸ばすものはいなかった。シーザーは無き父とシャルロッテの結婚という強引な方法で王権を簒奪すると、ユトランドの王につき、北欧王としても王位につく。

続いてシーザーが行ったのはフランスへの侵攻である。
若輩であるシーザーを軽んじつつも、歴戦のツワモノとなっていたフランス国王レオンは、シーザー率い北欧の軍勢を迎撃、激突する。
この戦いを制したのは人々の予想を裏切った北欧軍の勝利であり、シーザーはフランスの北半分を掌握、レオンは南方に身を移すこととなる。
シーザーはその後も、南はシルヴァニアまで侵略の手を伸ばし、欧州に進出していた異国の部族王なども取り込みつつ勢力を広めていく。

ビザンツ皇帝シリウスが亡くなり、後を告いだ魔法使いフォスターが亡くなると、その王権は若干10歳と少しのアルベルタに委ねられる。アルベルタは少年王として大国の皇帝となると、国内を取りまとめていく。幸い多くの種族の族長は信仰からも彼を神と崇拝するように教育されていたために、その巨大な教国は無事に継承することができる。
アルベルタは今までの大陸侵攻という方針を転換すると、大陸との協調関係を保つことを選択していく。


「第4章 〜神聖ローマ」

アレキサンドリアのグラーフ大王とフランス皇帝レオンの戦いはその後も続いた。
両国の疲弊はすさまじく、身を削りあう戦いの不毛さを痛感した両王はやがてこの終わり無き戦乱を終らせる方法を模索し始める。
その年、レオンが退位を宣言し、息子レイナードに王権を委ねると、彼は妻の祖国であるファルケンシュタインに帰ることを選ぶ。
一方グラーフもまた退位すると、国を功績ある騎士ルーシャスへと委ねる。新帝ルーシャスは武名で名を馳せる人物ながら、彼は国内を臣下たちと治め復興にかかっていった。

そのアレキサンドリアにあって力を発揮したのは宰相マルティネスであった。
マルティネスはディノギノスな流れを汲む名門であったが、その過ぎた知謀を危険視されていた老宰相である。このマルティネスの政治手腕は素晴らしく、永いあいだ続いた戦争の傷痕を癒すために奔走。かれは国内の傾いた政治経済を立て直す活躍をする。しかし、マルティネスは国内の統治のみならず諸国の合併工作へと手を伸ばすこととなる。
ようやくマルティネスの危険に気がついたルーシャスであったが時既に遅く、国内はマルティネスの派閥に塗り替えられていた。
戦を起こし、マルティネス討伐を掲げたルーシャス。しかし万全の態勢で迎え撃ったマルティネスは、武王を武力で破ることにより完全に国内を掌握していく。2分されたアレキサンドリアは「神聖ローマ」と「アレキサンドリア」という形で分割され、敗れたルーシャスはオードリュークの地に流れることとなる。

マルティネスの併合政策にさらされたのはアレキサンドリア周囲諸国だけではなかった。その手は落ちぶれたとはいえ大国フランスにも伸ばされていた。
フランスの危険を知ったレオンは再び王座につくと南方から侵攻する神聖ローマに対立の構えを見せる。
しかし老獪なマルティネスはすでにレオンの復帰を予測し、対策の手を打つ。
彼はその政治手腕を最大限発揮すると外交・軍事全てを用いてゆっくりとフランスを衰退させると、追い詰められたフランスを迎え撃ちこれを破る。
レオンもまたマルティネスに対して降伏すると従属国として従うことを選択。レオンはマルティネスの孫に対し、自分の娘を嫁がせると、その権威を得て地位を守ることに成功する。

アレキサンドリアの存亡に対して再び王座につくことを選んだグラーフ大王であったが、その力をもってしても神聖ローマは強大であった。
この時グラーフの傍には、かつて苦楽をともにした功臣の姿は無く、もはや孤軍奮闘という有様であった。
滅亡の窮地に立たされるアレキサンドリアに対して、同盟を働きかけ氏優位諸国と連立を組んだのは、北国の白狼王シーザーであった。
アバロン・アレキサンドリア・北国ヴィンランドなどを中心に集まった諸国は第二次大連立同盟として、再び結成されると、神聖ローマとの決戦に臨む。
この戦いでマルティネスは戦死、グラーフ王も命を落とすこととなる。

この戦いでアレキサンドリアは再び統一されることとなり、グラーフ無き王座は空位となる。武王ルーシャスはオードリュークの王として残ることを決断する。
アバロン王の派遣した軍勢の指揮官であるチャールズは、その手柄によりザクセンの国王となる。
一方中核を失った神聖ローマの瓦解が始まると、再びレオンは窮地へと立たされていく。
マルティネスと血縁関係まで結んだレオンであったが、それゆえ旗頭となったレオンは窮地に立たされ国は滅亡に危機にさらされることとなる。

「シグルト」

アレキサンドリアの王が空位となると、それら全てを奪い牛耳ったのは宰相のシュビレであった。功臣は退かれ、宮廷内部の派閥が一掃されると、国内はシュビレの手に握られる。 やがて正義の仮面をかなぐりすてたシュビレは野心の赴くまま、各地に兵力を派遣し侵略を開始する。
これに対しの北国のシーザーは自分の一人息子の王子シグルトを派遣する。
息子シグルトは冒険者をしていた異色の王であったが、軍略や政治才のみならず、武名や魔法の知識にも精通した人物でもあった。しかし、その唯一の欠点といえるのは、粗暴で気分屋、短慮ですぐかっとなり、自己の力に過信するところがあるというところであった。
そのシグルトを支えるのは立場上叔父(ネロとエカテリーナの子)デレミディッツと、アバロンの皇太子リチャードであった。
シグルトは彼等二人の力を借り、大国との対決を開始する。
この戦いはアレキサンドリアの宰相シュビレの無能さから起こった侵略劇であったが、シグルトはそこで名将ミネルバ等、アレキサンドリア4将(四天王)との対決を迎える。
この戦いを制したシグルトは、アレキサンドリアの国内からもっとも指示をうける新王ベルオンに王位を任せる。ベルオンはドワーフであったが、グラーフとも共に肩を並べて戦った人物であり、声望もあり、その実直な人柄は周囲に好感を持たれていた。
この戦はシグルトを大きく成長させ、そしてアレキサンドリアの4将という強力な仲間をシグルトにもたらすこととなる。

当時もう一つ起こった大乱がダークレギオンの中央進出である。
マルティネスという強大な支配者が消え、神聖ローマが消えると、止めるべき壁を失ったことにより、再び西の辺境より中央侵略を試みたのがこのダークレギオンである。
彼女はプロキアの名将ビクトーリアと互角以上の勝負を演じ、さらにユトランド地方の連立諸国小国の平定に王手をかける。この危機に再び派遣されたのがシグルト等であった。
シグルトはダークレギオンと対決これを破ると、相手を引き上げさせることに成功するのだが…。


「第5章 〜大召還」

説明に困る恐るべきシナリオが起こる。まるで今までのことを無しにするような、悪魔の大召還である。

その兆候は随分前から現れていた。
この召還を引き起こした男の名をロアという。しかし彼の名前を知るものは少ない。ロアは白いローブを愛用していたことから白ローブの男と呼ばれていたが、彼は狂気の神々を信望する邪教徒でもあった。ロアによる一の混沌はシルヴァニアにて行われる。シルヴァニアの貴族をそそのかし反乱を誘発させたロアは、シルヴァニア国王を暗殺、国内に4人の貴族による合議政権を樹立する。しかし、4貴族は互いを牽制すると政治は乱れ、国内は荒廃の一途を辿る。しかし、それこそが混沌を望むロアの考えであった。
ロアは何も望まない。混沌だけを望むのだ。
このシルヴァニアでロアは悪魔との契約・封印された魔界の入り口とされる場所があることを知る。調査の結果、それが土地ではなく人間の内に宿る封印であることを知ったロアは、封印を破るべくその娘を拉致する。そしてロアは躊躇い無く世界の破滅を選択するのである。

そして悪魔の大召還が行われる。地獄の蓋が開かれると、天を埋め尽くすような悪魔の数は実に100万。絶望と死が産声を上げると、世界は暗黒に飲み込まれていくこととなる。
今までマスターは驚愕、収集に追われる混沌とした時代が訪れる。大国も小国も区別無く悪魔の脅威にさらされると世界は崩壊の危機に放り込まれる。
これに対してPCとGMの奮闘が始まる。

世界秩序の崩壊の中、ロアはさらなる混沌を望む。かろうじて生存したレオン一族の跡取りレイナードを殺害し、付き従う家臣達にもその非道の刃は向けられる。
跡取りを失い打ちひしがれるレオンに対し更なる絶望を与えんとするため、レイナードはレオン自身の命を狙い付きまとっていく。


混沌に満ちた大召還時代。その圧倒的な暴力にさらされ、多くの諸国が滅び、大国であれ力を弱体化していくこととなる。
フランスは滅亡し、占領下となるとその支配領地は魔力のより拡張され、千年大地へと変貌する。アバロン・アレキサンドリア・北国ヴィンランドなどは弱体かしつつも、国としての母体を保つ。
暗黒の時代が到来したのである。

その暗黒時代に立ち上がり、祖国の復興と、大地の奪還を掲げた者たちがいた。
北国の白狼王シーザーの息子シグルト、ネロとエカテリーナの子・ドレミディッツ、アバロン皇太子リチャード等である。
当初この危機に対して復興の舵取りをし、国内を纏めたのは北欧王シーザーであった。シーザーはいがみ合う全ての派閥を取り込み、復興案を掲げると、諸国の難民・貴族諸侯を受け入れ取りまとめる。しかし、その過労から彼が病に倒れると、息子シグルトが後を引き継ぐこととなる。

シグルトは10年にわたり悪魔と対決、目覚しい活躍をしていくこととなる。
オードリュークの解放・ユトランド連立諸国の奪還に始まったその戦いの歴史には、一筋縄ではいかぬ人間社会の難しさがあった。悪魔との戦いの中にも人間同士の対立・反乱・戦争は続くこととなる。シグルトはそれにもまれ人間的な成長を見せると、次第に世界はもとには戻らないことを悟る。
やがて彼の掲げていく社会理想図もまた、善悪を内包できるものへと変貌していく。


「ゼノビア建国」

諸国復興の流れは、エルフドワーフ達も組み込んだ大きな潮流となっていった。そしてその流れは、悪魔の中でもつきあえるものは付き合い、封印すべきものは封印するという流れへとなっていく。人と異種族、天使と悪魔を加えたその政権は、新帝国ゼノビアとなって開花、建国することとなる。
・ 建国されたゼノビアの宰相にはアバロンのエドワードがつく。エドワードは民意をつかむことに長け、人々の意を汲み取るばかりか、人々に無理なく忍耐を解くこともできる逸材であった。本人は野心家で打算的な人物ながら、その人柄に騎士や民も一丸となり固まっていく。
・ その矛となって戦ったのは叔父のドレミディッツであった。武力ではシグルトに勝るとも劣らぬと呼ばれるドレミディッツは多くの悪魔を打ち破ると、それらを傘下に加え、強大な軍事力を得ていく。またこの時期ドレミディッツは欧州の道路整備なども行い、街道を作り上げる。
・ 参謀として多くの作戦を提案し、国内の防衛に力を注いだのは古豪元フランス国王レオンであった。悪名の高い彼であるが、それを二つ返事で登用したシグルトに対してレオンはその才能をもって返礼と返す。培われた知恵と采配はシグルトをよくささえていくこととなる。また侵略中の内乱の難事に立ち向かった手腕はさすが歴戦の名将であった。
・ シグルトを補佐したのは彼等諸国の王ばかりではなかった。弁士ジュリアは国内を取りまとめ、時に短慮な王をいさめるなど仲立ちとなって働き、レオンを討とうという動きを静めるなど、水面下で目覚しい活躍を遂げる。
・ アレキサンドリアのミネルバはシグルトをして最高の名将と呼ばせる人物であった。その作戦は奇才とよぶにふさわしく、創造できないほどの大規模・かつユーモラスな作戦をもって難事を乗り切る。人間的には極めて問題のある彼女も、シグルトにとっては「面白い奴」の一言である。

帝国暦10年。ついに悪魔の仲でも国家の様相を持つ魔族大国となりはてたフランス方面軍への征伐軍が派遣される。
10倍の兵力さといわれる大戦は、当初の予想よりもさらに困難に苛烈を極めた戦いとなる。当初、相手の軍勢を陽動分断し、偽りの敗戦をもって相手の首都より兵力を引き離す作戦をとったゼノビアであったが、この戦で各地の陽動を引き受けたドレミディッツ・レオン等の敗戦より皇帝シグルトは敵中孤軍奮闘することとなる。
敗北は必死と思われたこの戦いに対し、軍略と魔法を動員して戦うゼノビアは、悪魔のどぎもを抜く奇策に転じ、その戦にまさかの勝利を得る。

こうして訪れた復興期に、いままで流された血をぬぐうかのような善政がしかれいく。
滅んだ国々の復興、レオンとアレキサンドリア諸勢力との和解など、多くの戦いに終止符が打たれ、国内はようやく落ち着きまとまりをみせていくこととなる。
レオン王は、イベリアの領地を望むと、ポルトガルに所領を貰い、中央の役職から引退。ドレミディッツもまた、ロシアへの王位継承問題へと向っていくこととなる。
シグルトはというと、帝国としての統一政権を無理強いせず、独立を容認していく。また従うものに対しての保障や援助を怠らずそのため、ゼノビア帝国は大帝国としてさらに繁栄していくこととなる。


今期・欧州編ストーリー紹介

混沌を極めた時代、魔物に支配された大陸を解放しゼノビア帝国を建国、諸国を復興して言った皇帝シグルトの在位は15年に及んだ。
魔物の軍勢、異民族との戦いに対して皇帝は常に勝利を収めた。
皇帝は国々の独立も容認・諸国の間には共通言語と共通貨幣・交通網と教育が整備されるとともに、帝国の推奨した多神教はあらゆる宗教の容認と並列をもって諸国に広げられ、帝国の権力によってやがてそれらは容認されていった。そのことによるエルフやドワーフ達とも理解と交流が深まることとなった。
10数年の年月を超え世界が安定してくると、再び諸国の足並みは乱れる。くしくもその混乱はかつて世界を震撼させた魔物の軍団などではなく、この世界に一時の平和をもたらした英雄達によってもたらされる。

「ロシア・王位継承戦争」

そんな中、ロシアの侵略が始まる。いまでは高齢となった女帝エカテリーナによる中央侵略である。
これに対し、対決するのはエカテリーナの息子ドレミディッツである。ドレミディッツはゼノビア諸軍を引きつれ、エカテリーナとの戦いに乗り出す。
エカテリーナの軍勢もゼノビアに勝るとも劣らぬ精鋭であった。中でもカニンガム将軍はエカテリーナの片腕でありつつ、彼女の鎖を自ら噛み千切る闇の英雄である。
南北をシグルトとドレミディッツと分かれて進軍するゼノビアに対し、北方はドレミデッィツの弟、ピュートルが指揮して対決する。人心をつかみ勇敢にして際に長けるピュートルは苦悩の末尊敬する兄と対決、名勝負を展開していく。一方南方シグルトに対して当たるカニンガム将軍は、不敗で知られる皇帝の精鋭軍を撃破、後一歩のところまで追い詰める。これにより、北部のドレミディッツ軍も窮地に立たされていく。
この危機を打破したのはシルヴァニアの将軍であり魔族ネビロスであった。ネビロスはロシアのエカテリーナとカニンガム将軍の分裂を成功させ、勢力を弱体化させると、反ロシア軍をまとめ反旗を翻させる。この支援によってエカテリーナとの戦いに勝利を収めたドレミディッツは弟ピュートルとの和解を果たすとも二人の国王としてロシアの王位に付く。

「シルヴァニアの王子ヘンリー」

独立したカニンガム将軍はサマルカンドの地で、勢力を蓄えると欧州の入り口シルヴァニアへの侵略を画策する。
シルヴァニアは若くして他界した王・元アバロンのリチャードの国であったが、投じ王子は若く、王妃が政権を取り持っていた。この王妃と政略結婚に成功したカニンガム将軍は、反乱を起こすシルヴァニア騎士を平定する。この難局を逃れた王子ヘンリーは国外へと逃亡し、祖国奪還を誓う。

追い詰められる世間知らずの王子ヘンリーを救ったのは、流れ者の賞金稼ぎクラスヌイであった。
豹変した母親に対して不信を感じるヘンリーに対してクラスヌイはヘンリーの対し、カニンガム将軍の結婚には裏があるという考えを話す。
その確証をつかみ、婚約を破棄させるために本国サマルカンドへの旅を提案するクラスヌイ。
彼を加えたサマルカンドへの旅路は義父カニンガムの派遣する暗殺者との対決の旅であった。

ヘンリーはクラスヌイの勧めのまま、あえて目立った道を選ぶ。
異国の国々の和を取り持ち、時に土地の危機を救うなど、名を広めて旅をするヘンリーの下には、次第に仲間と支持者が集う。戦乙女のブラダマンテ・賞金稼ぎのシェレラ・異国の王子イスマイル・魔法使いの導師メリッサ・吸血鬼のメイヴ達とヘンリーの旅は賑やかさを持つ。それにともない、出かたを変えることを余儀なくされたカニンガム将軍との対決はやがては、アラビア諸国対カニンガム将軍の対決へと転じていく。


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